退職後に失業保険を受け取るためには、求職活動の実績作りをおこなう必要があります。しかし、ハローワークでどのような実績が作れるのかあまり詳しくない人も多いのではないでしょうか。
受給者資格認定日までには2回分の実績を作らなければならないので、なるべく手間がかからない方法が嬉しいですよね。それこそハローワークでの活動だけで実績を作ることができればと思う人も多いでしょう。
今回はハローワークで職業相談以外に実績が認められる方法やおすすめのセミナー、短時間で実績作りをする方法を転職エージェントとして10年以上のキャリアがある、転職支援サービスのプロ目線から解説します。
ハローワークで求職活動の実績作りが必要な理由
ハローワークで求職活動実績が必要な理由には、失業保険の受給が大きく関わっています。
退職した人は失業保険を受給する権利がありますが、実際に失業保険を受給するためには、求職活動をおこなった実績を証明しなければなりません。
失業保険は職を失った人の就職活動を支援するものであり、働く気がない人に無条件で給付金を支給する制度ではないからです。

失業保険についての基本的な情報は以下の記事で取り上げていますので、不安な人はぜひチェックしてみてください。
ハローワークのみでも失業保険のための求職活動実績を満たすことは可能
ハローワークだけでも、求職活動実績を作れる手段は複数あります。ハローワークは求職者を就労に結びつけるための職業紹介事業であり、求職活動の拠点として幅広い就労支援をおこなっているからです。
求職者に対してセミナーや講習を開催したり、職業訓練や職業相談をおこなったりと、あらゆるサポートで再就職を後押ししてくれます。

ここからはハローワークでの実績作りについて詳しく解説していきますね。
ハローワークで求職活動の実績作りをする方法
ハローワークで求職活動実績を作るためには、以下の3つの方法が挙げられます。
- ハローワークで職業相談をする
- ハローワークが開催するセミナーや講習会に参加する
- ハローワークで求人に応募する
ハローワークで求職活動実績を作るメリットは、手続きが簡単な点や実績を証明しやすい点です。

ハローワークで職業相談をする
求職実績を作る際に一般的なのは、ハローワークでの職業相談です。ハローワークは公的な就職支援施設なので、就職に関することなら誰でも気軽に相談できます。
ハローワークで職業相談をすると、応募を急かされそうなイメージを持つ人もいますが、時間をかけて検討したい場合はその旨を伝えれば問題ありません。
職業相談1回につき1回分の実績作りが可能なので、気になることがあれば気軽に相談してみてください。

ハローワークが開催するセミナーや講習会に参加する
ハローワークが開催しているセミナーに参加したり、講習を受講したりするのも、比較的簡単に求職活動実績を作れる方法です。
セミナーや講習では基本的に座って話を聞いているだけなので、心理的な負担が少なく役立つ情報を多数得られるというメリットがあります。
求職活動しているふりをして参加してもバレるリスクが少ないため、再就職まで少し時間的なゆとりが欲しい人にもセミナー参加はおすすめです。

ハローワークで求人に応募する
早めに再就職したいと考えている人は、積極的にハローワークで求人に応募してみましょう。ハローワークで求人に応募すると、1社に付き1回分の求職活動実績として認定してもらえます。
原則として、同日に同じ求職活動を複数おこなった場合でも1回分の実績しか付きませんが、求人応募は例外です。同日に2社応募すると2回分の実績がつくため、本来なら失業認定日までに2日間の活動実績が必要なところ、1日で要件を満たせます。

特にリクルートエージェントは求人数が多く、応募の際のサポートも手厚いのでおすすめですよ。
【要注意】ハローワークで求職活動の実績に含まれない行動
ハローワークで求職活動をおこなう人は、実績に含まれない行動もいくつかあるので注意してください。
求職活動を何度おこなったとしても、実績が付かなければハローワークからの認定は得られません。認定を得られなければ、失業保険の支給を停止される可能性もあるので、普段から意識しておく必要があります。
ハローワークに足を運ぶ
ハローワークに足を運ぶだけでは、求職活動の実績になりません。来所するだけなら働く気がない人でも簡単にできるので、失業保険の受給に適した行動とはいえないからです。
失業保険を受給する資格があるのは、就職するために努力をしている人であり、就職する意思が確認できない行為は求職活動とはみなされません。

ハローワークのパソコンで求人情報を検索する
ハローワークのパソコンを利用した求人情報の検索も、求職活動の実績として認められないので注意しましょう。求職活動とは、企業採用につなげるための積極的な行動のことです。
求人情報を検索する段階では採用につなげるための行動とはいえず、どちらかというと求職活動の下準備のような扱いになります。
また、求人情報の閲覧が求職活動実績として認定されれば、失業保険を不正受給する人が増える可能性があります。

ハローワークで実績作りのために求職活動をする際のポイント
ハローワークで実績作りのために求職活動をする際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
ポイントを知らずに求職活動をおこなえば、実績作りで努力したことが無駄になってしまう恐れがあります。それぞれの項目をよく確認して、確実に実績作りをおこないましょう。
同じ日に同じことをしても実績認定は1回のみ
ハローワークでの求職活動は、原則的に同じ日に同一内容を複数回おこなっても1回分の実績しか付きません。同日に異なるセミナーに2回参加したり、職業相談を2回おこなったりしても実績に認定されるのは1回分のみです。
ただし求人応募だけは例外で、1日に2つの会社に応募すれば2回分の実績が認定されます。

必ずハンコか参加証明書をもらう
ハローワークで職業相談を受けたりセミナーに参加したりした際には、ハンコか参加証明書を貰うのを忘れないようにしてください。
実績作りのためには求職活動をおこなった証明になるものが必要になるので、貰い忘れた場合は実績として認定されない可能性があります。
ハローワークで職業相談を受けたときには「雇用保険受給資格者証」に必ずハンコを押してもらいましょう。

4週間に2回以上の求職活動実績が必要
失業保険を受給するためには、4週間に2回以上の求職活動実績が必要です。失業保険は働く意思がある人に対して支給されるものなので、求職活動を積極的におこなった実績が認められなければ、支給を停止されてしまいます。
4週間ごとの認定日に備えて、ハローワークで職業相談やセミナー参加、求人応募などをおこない実績を作っておくようにしましょう。

求職活動実績に必要な回数やその理由などは以下の記事で特集しています。
求職活動をするふりにはリスクを伴う
求職活動をするふりにはリスクを伴います。失業保険を受給するために実績作りを検討している人は注意してください。すぐに就職する気がないにもかかわらず、求職活動をするふりをして失業保険を受給する行為は、不正受給に該当します。
雇用保険法第10条の4によれば、失業保険を不正受給した人は以下の罰則が課せられる可能性があります。
- 失業保険の受給停止
- 不正発生日からそれ以降の失業保険の金額+受給額の2倍の追加納付(3倍納付)
- 延滞金の発生

ハローワークの職業相談を短時間で済ませるための裏ワザ質問集
ハローワークの職業相談で効率よく実績を作れる裏ワザとして、短時間で相談を終えられる質問集を用意しました。
職業相談で何を話せばよいのかわからない人や、職業相談にハードルの高さを感じている人は、ぜひ以下の質問を参考にしてみてください。
- ◯◯の資格を活かすなら、どのような業種が向いていますか?
- 退職理由をうまく伝えるコツを教えてください
- この職業訓練の枠はどれくらい余っていますか?
- この企業の離職率はどれくらいですか?
- この企業の残業時間はどれくらいですか?
- この企業の福利厚生について詳しく教えてください。
- この求人には今何人応募していますか?
職業相談を短時間で済ませるコツは、なるべく具体的な質問内容をあらかじめ用意しておくことです。質問内容が具体的であるほど回答内容もピンポイントに絞られるので、相談が長引くのを防げます。

また、職業相談で応募を促された場合の対処法として「家でじっくり検討してみます」と伝えると、自然な形で切り上げられます。
職業相談以外の求職活動実績の裏ワザを知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
組み合わせると実は効率的!ハローワーク以外での実績作りでおすすめの方法
失業保険のために求職活動の実績作りができる場所は、ハローワークだけではありません。
ハローワークだけで実績を作ろうとすると、定期的にハローワークまで足を運ばなければならず、求職活動への負担が大きくなる可能性があります。
しかし、以下の方法を組み合わせれば、自宅からでも効率的な実績作りが可能です。
ハローワークの職業相談やセミナー参加だけで、失業保険の認定日をすべて乗り切るのは大変なので、組み合わせながら求職活動をおこなってみてください。
転職エージェントのオンラインセミナーに参加する
まず手軽にできる方法として挙げられるのが、転職エージェントのオンラインセミナーに参加することです。オンラインセミナーなら自宅から簡単に受講できるため、ハローワークの職業相談やセミナーよりも参加しやすいというメリットがあります。
オンラインセミナーを開催している転職エージェントは複数ありますが、求職活動の実績を効率的に作りたい人にはリクルートエージェントがおすすめです。

リクルートエージェントのオンラインセミナーを受講した人は、dodaのオンラインセミナーもおすすめです。dodaも再就職支援に強い人材紹介会社なので、就職先を見つけるためのノウハウや、応募時の注意点などを詳しく解説してくれます。
以下の記事でこれら2つのエージェントのオンラインセミナーについて詳しく解説しています。
インターネットで求人に応募する
ハローワークを介さず、直接インターネットで求人に応募した場合も求職活動の実績として認定されます。転職サイト・エージェントは厚生労働省の認可を受けている就職支援サービスなので、ハローワークからの応募と同等の扱いになるからです。
転職サイト・エージェントはハローワークに登録されている求人以外にも幅広い求人を閲覧できるため、気になる就職先が見つかる可能性が高くなる点もメリットです。
求職実績を証明する際には、認定日に応募完了メールを提示しましょう。

人材紹介会社の職業相談を受ける
人材紹介会社での職業相談も、ハローワークの職業相談と同様に求職活動の実績になります。
厚生労働省の認可を得た転職エージェントや派遣会社での職業相談も、就職への取り組みとして認定されるからです。
雇用主と求職者のマッチング力に長けている人材紹介会社なら、条件に合う就職先を探してくれるだけでなく、個人の適性に向いている仕事も教えてくれます。

転職エージェントを初めて使うなど、エージェントの利用に不安がある人は、ぜひ以下のカウンセリングの情報を取り上げた記事をチェックしてください。
国家資格の試験を受ける
国家資格を取得するための受験は、求職活動の実績に認定されます。就職する気がなくても失業保険目当てでの学習はできますが、実際に試験を受けるには費用も労力も伴うため、就労意欲の証明となるからです。
ただし、資格取得のために試験を受けたとしても、仕事に役立つものでなければ実績として認定されません。

ハローワークでの求職活動に関してよくある質問
ハローワークでの求職活動に関して、よく寄せられている質問を5つ紹介します。
同じ疑問がある人は、内容を確認してみてください。
受給できる失業保険の金額は?
失業保険は、離職日より6ヶ月遡った給与額(賞与は除く)を合算し、180で割った金額のうち50〜80%(60歳〜64歳は45~80%)が支給されます。
たとえば、41歳のAさんが月々33万円の給料を受け取っていた場合、失業保険の1日あたりの支給額は以下のように計算できます。
- 33万円×6ヶ月÷180=1万1,000円
- 1万1,000円×50%〜80%=5,500〜8,800円
また1日あたりの支給額は、年齢によって以下のように限度額が決まっています。
年齢 | 支給限度額 |
---|---|
30歳未満 | 7,255円 |
30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
(令和7年8月1日時点)
30歳以上45歳未満なら1日あたりの限度額が8,055円なので、Aさんの失業保険の受給額は5,500円〜8,055円となります。
ハローワークで1番簡単な実績作りの方法は?
ハローワークで1番簡単な実績作りの方法は職業相談です。相談内容によっては数分で終わるので、短時間で実績を作りたい人に向いています。
しかし、一部には人と話すのが苦手な人や、求人応募を促されるのではないかと職業相談にハードルを感じる人もいます。職業相談を申し込むのに気が引ける人は、セミナー参加がおすすめです。

認定日に実績作りは可能?
認定日に実績作りは可能ですが、次回分の実績となるため注意が必要です。実績作りの締切は認定日の前日までとなっており、認定日当日に今回分の実績は含まれません。
認定日までに実績が作れなければ失業状況が不認定となり、失業保険の給付は見送られます。しかし、次の認定日までに職業相談やセミナー参加などで2回分の実績を作れば、失業保険の給付は再開されます。

実績のために職業相談をすると注意される?
実績のために職業相談を利用したとしても、注意される可能性は低いです。実績のために職業相談をする人は少なくないので、職員もその点についてはある程度理解しています。
ただし、あまりにもやる気のない態度で職業相談を利用すると、悪質だと判断される可能性が高いので注意しましょう。失業保険の受給資格者は、あくまで就職活動に前向きに取り組む人であることを忘れないようにしてください。

認定日前日までに実績がゼロの場合にオススメの方法は?
認定日前日までに実績がゼロの場合は、前日に2つの異なる求職活動を組み合わせて実績を作りましょう。
同日に異なる内容の求職活動を1回ずつおこなえば、1日で2回分の実績が作れ、失業認定の要件を満たせます。
例えば「職業相談+セミナー」や「職業相談+求人応募」などです。
原則的に同日の求職活動は、同じ内容を2回おこなっても1回分の実績しか作れないので注意してください。

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求職活動の実績を簡単に作りたい人は、リクルートエージェントのオンラインセミナーを受講してみてください。
リクルートエージェントならパソコンやスマホで参加可能な様々な種類のセミナーが用意されているので、実績作りの負担を大きく軽減できます。
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