外資系アパレル企業への転職で意識しておきたい6つのこと

最近、アパレルご出身の方からのお問い合わせがお陰様で多くございます。検索で「アパレル 転職」「販売員 転職」と調べていただくと検索上で上位に表示されているためかもしれません。

そこで今回は、外資企業のアパレルについて執筆したいと思います。

執筆するに辺り、本気でご支援をしたいと思い、今回は

『ミラノ・コレクションブランド企業にて営業部長、バーニーズジャパン、グッチグループジャパンなどで人事総務部長のご経験がある、竹間 克比佐さん』に色々とご指導、監修頂き執筆させて頂きました。

アパレル業界について詳しい方ですので大変参考になる内容となっておりますが、少々専門的な内容になっております。知見を身に付け、転職活動に生かして頂ければ幸いです。

それでは早速見ていきましょう。

外資との根本的な違いについて

現在ほとんどのファッションブランドが、外資ブランドです。

国内のブランドで生き残っている企業は、皆さんが知っている企業だと数える程の企業しかないかもしれません。

現在国内で店舗系販売をしている方の多くも外資ブランドの店舗系販売かと思います。外資企業の特徴としてスペシャリストであることが求められるため、店舗系販売からマーケティング担当になることはほとんどありません。外資でマーケティングを雇うのであればデジタルマーケティングに携わっている方を採用します。

そのため、基本的に社内転職というのがありません。新卒、もしくは専門職種からの転職してくる即戦力を中途採用で求めています。

外資ビジネスは、グローバル化による競争の激化に伴い、大手ラグジュアリーブランドは企業の買収・合併を繰り返し、リストラクチャリングを進めシェア獲得と生産の効率化を図っています。まさにファッションがビジネス、市場に「本格的」に取り込まれたといっていい現状です。

グローバル志向の高い人間が組織で高いポジションに就くという能力的側面、役職が高くなればなるほどチャンスと脅威がクリアに見えるという認識力的側面が合わさった結果だろうと推測できます。

国内ブランドの企業との大きな違いが、トップ・ラグジュアリー・ブランドは“ビジネスプラン”だけでなく“哲学”を持っています。

何世紀にも渡ってビジネスの成功を維持させることはできても、顧客に卓越した価値を提供するために生まれたブランドが、その使命を果たし続けることは難しいと言えます。

その理由として、トップ・ラグジュアリー・ブランドの創始者は、腕のいい手仕事職人でありMBA 保有者ではないことが挙げられます。

ラグジュアリー・ブランドは、価格の影響をあまり受けない消費者層を顧客にもつブランドであることを前提条件としています。

上位のラグジュアリー・ブランドでは、価格は購買意思決定において極めて限定的な役割であると考えております。

ブランド選択においてきわめて重要な要因が

  1. 信頼性と卓越した品質
  2. 代替品や類似品では得られない大きな魅力
  3. 象徴的なステータス

があります。ファッションは、歴史と宗教などが大きく関係しています。そのため、外資のアパレルはその成り立ちや歴史を非常に重要視します。

そのため、転職する際の採用でも重要になるポイントでもあります。

その企業のカルチャーや文化を大切にしますので採用にも大きく影響してきます。

私たちの洋服の歴史は、戦後70年と言っても過言ではありません。

有名なデザイナーである『イッセイミヤケさん、川久保玲さん、森英恵さん、など』の著名な方を除くと平成に世の中で世界に打ってでれる著名なファッションデザイナーは輩出していません。

それは、独自な世界を描ける土壌が外資企業にはあるため、有名なデザイナーを志す方やファッションを広めるための人材がいるのが特徴です。

また、もう1点『哲学』の他に挙げるとしたら【ものを作る】Merchandisingの感性が違います。

私が在籍しておりました外資ブランドは、一人のカリスマなデザイナーの下、優秀なお針子が居て、そのブランドしか使用することができないエクスクルーシブな素材があり、バイイングする人はデザイナーがセットしたコーディネートを買い付け、その消化率もかなり高いことを要求、そして秋冬・春夏で残さずに売り切ります。

※バイイング・・・購入する顧客、買い手のこと。

より分かりやすくお伝えすると数字に色付けされた商売です。

そのため、非常に数字や売り上げに対しては厳しいのが特徴になります。もちろんその分、高い営業力が身につきやすいのが特徴でもありますが…

外資の印象でやはり過剰なイメージを持っているのが、この成果だと思いますが、大手の営業会社と水準としては同じではありますし、成果を出すプロセスが似ているため転職する上でそれほど過剰に反応する必要はないと感じます。

年収の違いは?

結論、外資企業のアパレルの方が年収は高いです。

内資は、新卒からの昇給で評価される「generalist」です。

しかし、外資は、専門能力に秀でている「specialist」と言えます。

そのため、外資系は「責任」から「専門性」が高く、それだけ「結果」が反映されやすいです。そのインセンティブプランが反映されるので外資は給与水準も高い傾向があります。

更に、母国語以外の外国語が堪能であり、その国国民性など価値観、「世界観」が身について行きます。

内資はある意味隣を見ながら、調整をする。更に「中流階級」であることで満足してしまいがちです。良い意味で、「仲間意識が高い」ので、給与も同水準も分配といえるため、基本アパレル業界の給与は低く、利益率が低いのが特徴です。

給与アップを検討され転職を考える方がいますが、店舗系販売で実績がないのであればどこにいっても転職が非常に難しいためオススメしません。

専門性・語学力があることで年収は30代前半で、200万以上の差が産まれます。

英語力・語学力は実際どれくらい必要か?

英語力はあくまでも目安になりますが、TOEIC700点以上は必要になります。アパレル業界の外資企業の会議や説明などは『英語』が主流になりますが、こちらはもちろん、そのファッション業界の拠点などで変わってくるので、1つの参考にしてください。

勿論、TOEIC・TOFEL・IELTSも大切ですが、結論から申しますと聞く・見る・話す・理解する・伝えるということができるレベルで問題ありません。販売だけでなく人事や営業などをする上ではビジネスレベルでの理解が必要ですが、コミュニケションにおいて「どんな言葉を使うか」という言語に関する部分よりも、表情や仕草などの非言語の部分のスキルを練習すると効果が早いと個人的には思います。

外資への転職で経験なスキルは?

外資fashionビジネス上では、其々のスキルは「専門性」です。マネージメントは、チームビルディングの専門家として役割です。

MDの世界では、ある意味数的管理能力が必要になります。それに加えて「感性」も必要ではありますが、買ってきた商材が、エンドユーザーに触れて「買いたい」と思わせ無くすことが必須業務です。

そのためにその商材のコーディネート販売技術、繁閑を察した販売計画など「すべて」勘ではなく数的管理能力が問われます。現職でこういった汎用スキルを身に付けることは非常に重要になりますので、ご自分のスキルが足りない場合はまずは、現職でやりきることが非常に重要になります。

安易に転職はしてはいけません。

転職者が良く間違える認識や勘違い

外資のビジネスに必要なことは「時間」効率です。「成果」の過程を重視はしません。「結果」ありきです。

即ち、先ず会議はあまり欲しません。私も外資企業で勤めていた経験がありますが、週に一度の定例会議などは、時間の無駄と捉えます。

国内企業は毎週会議の招集がかかり、二時間以上の拘束となり結果何も決まらないということも多いのではないでしょうか?

外資では、本国との時差もあります。無駄に時間を取れません。

またグローバルで世界統一での見解も多いため「30分」の時間内に目的・経過・目標・などジャッジを早くする数字的根拠を形にする
スピード感が必要なのです。

一つには、世界感を肌で感じとり、YES・NOが即座に決めることへの注力が必要であると言えます。

やりたい仕事ができなければ、やりたい仕事ができる環境に自分を持っていく。私も仕事をするということはそういうことだと思っています。我慢して仕事を行っていても良い成果は生まれないと私は思います。

だからこそ・・【やりきる】体力があるかないかは大きな差になります。

そのため、外資企業へ基本的に転職する場合はカルチャーが合わずに退職してしまうケースがあります。そのため、転職や就職する場合はしっかりと情報収集をして頂くと良いかと思います。

内資企業から外資企業への転職は可能の?

結論可能ではありますが、下記点には注意が必要だそうです。

  1. 海外などの組織文化に順応できるか?
  2. 成果に対してコミットができるのか?
  3. スキルの違い
  4. 語学力や感性があるか

いくつか条件があるため、難易度は高いといえます。技術や布の選定などそういった上流工程を経験しているのであれば、比較的活躍ができるかと思いますが、店舗販売の場合であれば、同じく店舗販売への転職が無難でしょう。

上流工程での出世を検討しているのであれば、結果を出し、のし上がる必要があるため、精神力やマインドは非常に重要になってきます。

 

まとめ

組織変更などを迅速に行うのが外資です。社長や社内経営幹部が変わるとガラッとスタイルが変わります。

昨日まで「正」だったものが、全て「無」になることもざらです。

今という「時間」に常に魅力のある方が、今目の前の社長についていきたいという気持ちを示してみる価値が必要です。

外資系企業で生き抜いていくためには、常に自己啓発を行い、自分の実力を把握するだけではなく、売り込んでいくことが大切かなと感じます。

「前に向き」後を向かないポジティブマインドが必須と言えます。

いかがでしたでしょうか?

今回は、外資アパレル企業でのご支援に強みがある竹間(ちくま)さんにご協力をお願いさせて頂きました。

近年アパレル業界からの転職相談が弊社にも多いですが、やはりプロとしてより良い転職サポートができるようにその業界に特化した知見が必要だと考えており、今回ご協力頂きました。アパレル業界を変えるため日々活動されており、『浴衣』や日本文化を海外に発信する取り組みもされております。

外資企業、アパレル業界・ファッション業界への転職をご検討の場合は、ご紹介させて頂きます。その際は、竹間さんの相談希望とご連絡下さい。

正直アパレルからの転職は正直難しいのが現状ではあります。そのため、1つの選択肢として外資企業への転職も視野に入れて頂ければと考えております。もちろん、難易度は低いわけではありませんが、年収や働き方は大きく変わります。

将来どのような仕事をやりたいのか?、そのなりたい自分に繋がる為にどのような経験やスキルが必要なのか?その経験を積むためのにはどのような会社へ行くべきなのか?1つ1つ弊社では棚卸しをプロとしてさせて頂きます。

その業界に特化したエージェントとの繋がりが多いため、知見は豊富にあると自負しております。ご相談は下記よりお願いいたします。


記事監修・協力:竹間 克比佐

1958年生まれ。成城大学、法学部卒。大同毛織株式会社入社(専門店部門:店長職・バイヤー職)後にミラノコレクションブランド「BASILE」ブティックコーディネーター職・バイヤー職・営業職を経験後Barney Japan(横浜店店長職・人事統括職経験)、GUCCI Group Japan 人事部門統括職経験その後、有限会社C.H.I取締役として会社を設立。

小売業、とくにファッションビジネス業界を中心に、企業、各種団体の役員等エグゼクティブ及び社員向け教育訓練、指導及び育成事業、採用の企画立案、等に携わる。

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末永 雄大

新卒でリクルートキャリアに入社。数百を超える企業の採用支援を経験。2012年アクシス(株)設立、代表取締役兼転職エージェントとして年間数百人以上のキャリア相談に乗る。Youtubeの総再生数は670万回以上、Yahooニュース・東洋経済オンラインでも情報発信。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック」