ハローワークで失業保険を受給するには、一定期間内に求職活動をおこなった実績をハローワークに報告する必要があります。
その際に必要になるのが「2回以上の求職活動実績」です。
2回以上と聞いて、「求職活動2回以上とは2回でいいのか」「3回必要なのでは?」と不安になる人も多いでしょう。
本記事では、「2回以上」の意味、初回認定日の特例、活動として認められないケースなど、失業認定で損をしないための基礎知識を解説します。
正しい実績の作り方と休職活動回数の数え方、手当を受け取る方法を押さえておきましょう。
求職活動2回以上とは2回でいいのか?
求職活動でも止められる「2回以上」には、「2回ちょうど」も含まれます。
求職活動の回数は厚生労働省の失業認定基準に明記されており、2回ちょうどでも条件を満たすとされています。
そのため、1回の認定期間につき2回の求職活動実績があれば問題ありません。
余裕を持って活動実績になるものを3回以上用意しておくと安心です。
失業給付の求職活動実績作りで知っておくべきポイント
求職活動の実績を作るには、単に活動回数を増やせば良いというものではありません。
実際には、どの活動が実績として認められるのか、1日に複数回おこなった場合の扱い、初回認定日の特例など、細かなルールがあります。
ここでは、求職活動の実績作りで注意すべきポイントや対策を解説します。
- 初回認定日は1回以上の活動実績でよい
- 求職活動として認められないものもある
- 1日に2回カウントされない
- 退職理由によって求職活動のスケジュールが異なる
- 失業認定申告書を作成・提出する
初回認定日は1回以上の活動実績でよい
厚労省のルールにより、初回の認定日の求職活動は1回だけでも認められるという特例があります。
これは離職から失業給付の申請までにあまり日数がなく、十分な活動時間を確保できないケースを考慮した制度です。
ただし、初回認定でも面接やセミナー参加、求人応募といった就職に直結する行動が必要です。
- ハローワークでの職業相談
- 就職セミナーへの参加
- 転職エージェントとの面談
- 求人への応募
ハローワークでの求職登録だけでは認定されないため要注意です。
求職活動として認められないものもある
求職活動のすべてが実績として認められるわけではありません。
実績としてカウントされるには「就職を目的とした積極的な活動」である必要があり、就職とは関係ない活動は対象外とされます。
| 求職活動として認定されるもの | 求職活動として認定されないもの |
|---|---|
| ・求人への応募 ・ハローワーク窓口での職業相談 ・転職エージェントとの面談 ・転職関連セミナーへの参加 ・企業説明会への参加 ・資格試験の受験 ・職業訓練 |
・求人閲覧 ・派遣会社の登録のみ ・自己啓発や趣味のセミナー ・民間のオンラインセミナー |
キャリアセミナーを受講しても、内容が自己啓発的であったり主催団体が不明確であったりする場合は認定されない可能性があります。
また、就職に結びつかない民間のオンラインセミナーや転職サイトの閲覧だけでは活動として認められないこともあります。
とくにおすすめは大手のリクルートエージェントが主催するセミナーです。
1日に2回カウントされない
同じ日に同じ内容の活動を2回おこなっても、1日1回の実績としてしかカウントされません。
たとえば午前中に職業相談を受けて、午後に再度相談しても、実績は1回分として扱われます。
求職活動実績は基本的に「日単位」でカウントされるため、短期間に集中して行動しても回数は増えません。
退職理由によって求職活動のスケジュールが異なる
退職理由が「会社都合」か「自己都合」かによって、失業保険の受給開始時期と求職活動のスケジュールが大きく変わります。
- 会社都合の退職:待機期間(7日)の後すぐに受給開始
- 自己都合の退職:待機期間(7日)+1ヶ月の給付制限期間
自己都合の場合は待期期間+給付制限が設けられており、その間の求職活動は給付条件に直結しないこともあります。
失業してから失業保険が給付されるまで1ヶ月待つ必要があるため、退職後に必要な1〜2ヶ月分の生活資金を用意しておくと安心です。
失業認定申告書を作成・提出する
失業給付を受けるには、ハローワークでおこなわれる失業認定日に失業認定申告書の提出が必要です。
失業認定申告書には、実施日・活動内容・場所などの求職活動実績を正確に記載する必要があります。
不正確な記入や虚偽の申告は給付停止の対象となるため、参加証明書や応募履歴など裏付け資料を準備しておくと安心です。
失業認定申告書の書き方については、下記の記事も参考にしてみてください。
求職活動を2回だけで済ませるデメリットと注意点
失業認定の条件として、2回以上の求職活動実績があれば失業手当は支給されます。
しかし、最低限の回数だけで済ませてしまうと、以下のリスクや損失を招く可能性があります。
給付が止まる可能性がある
求職活動をギリギリ2回だけ行っていると、1つでも実績が無効と判断された場合、条件未達とされ給付が止まるリスクがあります。
- 実績として認められないセミナーを記載していた
- 参加証明書が不足していた
- 失業認定期間外の活動を記載していた
ちょっとしたミスでも、申告が正しくないと判断されれば給付は受け取れません。失業手当を確実に受け取りたいなら、予備的にもう1〜2回分の実績を用意しておくと安心です。
就職するチャンスを逃しやすい
求職活動の回数が少ないと、その分だけ求人情報や面接の機会に触れるチャンスを失います。
たった2回の活動だけでは、希望の条件に合う仕事や自分に合った職場に出会える確率はかなり低いです。
良い求人を見逃したくないなら、最低限の活動にとどまらず、積極的な活動が必要です。
スキルアップの機会を失う
求職活動を最低限の2回で済ませてしまうと、学びの場に参加する余地がなくなります。
求職活動の中には、セミナーや研修など、スキルや知識を向上させる機会も多くあります。
特に履歴書や職務経歴書の書き方、面接の対策、自己分析の方法などを教えてくれるセミナーは、再就職の成功率を大きく左右する大事な活動です。
活動の幅が狭いと、スキルや知識の向上につながりにくく、自己成長にもつながりません。
「求職活動=就職への準備と自己投資」と考えれば、2回だけで終えるのはもったいないといえます。
時間を無駄にしてしまう
失業期間の時間を有効活用せず、求職活動を2回だけで終えてしまうのは非効率です。
失業期間中は収入がない反面、自由に使える時間が豊富にあります。
定期的にセミナーに参加したり求人応募や職業相談をしたりして、求職期間を自分を磨く機会として活用すれば、モチベーション維持に効果的です。
失業期間は再スタートに向けた「準備期間」として捉えることが大切です。
失業給付で損しない求職活動実績の作り方
失業給付を受け取り、早く再就職を目指すには、求職活動実績をどう作るかがカギになります。
単に数をこなすだけでなく、中身のある実績を意識すれば、給付の継続と再就職の成功を両立できます。
以下では、損をしない実績の作り方を解説します。
求職活動の回数と質を理解する
求職活動の回数は最低でも2回必要ですが、それに加えて重要なのが「質」です。
内容が形式的であったり、実際の就職につながらないものだと、活動としての意味が薄れてしまいます。
たとえば、求人サイトを眺めるだけでは実績にならず、応募や職業相談、セミナー参加など具体的な行動が求められます。
自己理解やキャリア形成に繋がる活動のほうが就職に有利となるため、量だけでなく質の高い活動を意識すべきです。
ハローワークの職業相談でサポートを受ける
ハローワークでは、失業保険の手続きだけでなく、求職活動を支援してくれる職業相談も実施されています。
多岐にわたるサポートを無料で受けられるだけでなく、職業相談そのものが1回の求職活動実績としてカウントされるため、実績作りとサポートの一石二鳥が可能です。
- 履歴書の添削
- 面接対策
- 求人情報の紹介
- 応募先とのマッチング
職業相談を有意義なものにするには、準備が不可欠です。
「何を相談したいか」「どんな職業に就きたいか」などをメモにまとめておくと、より役に立つアドバイスを受けられます。
求人に応募して履歴書・職務経歴書の質を上げる
求人への応募は、求職活動実績の中でも特に評価されやすい行動のひとつです。
実際に応募する経験を増やせば、履歴書や職務経歴書の完成度も高まり、面接通過率を上げられます。
書類選考で不採用になっても、その過程で自分のアピールポイントや職務経歴の整理が進み、次の応募に活かせます。
ハローワークや転職エージェントに添削を依頼すれば、より完成度の高い応募書類を作ることも可能です。
セミナーや説明会に参加して知識やスキルを身につける
就職支援セミナーや企業説明会は、最新の労働市場の動向などを知るチャンスです。
履歴書の書き方や面接の受け答えなど、実践的な内容を学べるセミナーも多く開催されており、求職活動実績にもなります。
また業種別セミナーでは企業の生の声や仕事内容を詳しく知ることができ、就職先の選択肢を広げることにもつながります。
将来のキャリアアップにつながる資格を取る
失業期間中は、時間を活かして資格取得にチャレンジする絶好のタイミングです。
資格の受験も求職活動として認められるため、転職市場でニーズの高い資格を選べば、就職活動の際に大きなアピールポイントになります。
たとえば簿記や医療事務、IT系の資格などは、幅広い職種で評価されます。
さらに、資格取得に向けたセミナーや講座も求職活動実績として認められるケースがあります。
認定日当日に求職活動が2回未満のときの対処法
失業認定日に求職活動実績が2回に満たないと、その日の認定が通らず、失業給付が支給されない可能性があります。
ただし、当日中に対応できる手段が存在します。
ハローワークの担当者に相談する
どうしても当日中に2回目の実績が作れない、または1回分の実績が曖昧な場合は、ハローワークの窓口担当者に正直に状況を説明して相談しましょう。
体調不良や家庭の事情などやむを得ない事情がある場合、担当者判断で次回に繰越できたり、次回以降の対応についてアドバイスをもらえたりします。
また1回の活動でも失業認定が通る「初回認定日」の場合や「特例対応」が適用されるケースもあるので、まずは事情をきちんと伝えることが大切です。
求職活動実績作りの裏ワザ
求職活動実績をもっと手軽に作りたい場合は、以下の裏ワザが役立ちます。
特に認定日や実績が足りない時は、上記のテクニックが便利です。認定日当日にハローワークで次回の求職活動実績を作る
認定日当日にハローワークでおこなった求職活動は、次回分の実績としてカウントされます。
失業認定日に職業相談や求人検索、履歴書添削、セミナー参加などをおこなえば、次回認定期間の1回分として活用が可能です。
この方法を使えば、次回の求職活動のハードルを早めに1回分クリアでき、時間や気持ちに余裕が生まれます。
認定手続き後はすぐ帰らず、相談ブースや求人検索端末を活用しましょう。
1日に異なる求職活動を2回以上する
1日に同じ活動をした場合は1回しかカウントされませんが、異なる求職活動を複数回おこなえば2回以上としてカウントされます。
たとえば午前中にハローワークで職業相談を受け、午後に求人に応募した場合、2回の実績として認められる可能性が高いです。
内容が異なれば同日中に複数回の活動として認められるので、「認定日まで残り1日しかない」という場合に便利です。
他にも求職活動実績の裏ワザをまとめた記事をご参考ください。
求職活動実績を作るなら転職エージェントがおすすめ
求職活動の実績作りに有効なのが、転職エージェントの活用です。
転職エージェントはキャリアカウンセリングや求人紹介、履歴書・職務経歴書の添削などのほかに、オンラインセミナーを実施しています。
オンラインセミナーは求職活動実績として認められる場合が多く、活動記録としても残しやすいです。
特に大手のリクルートエージェントが開催しているセミナーは、実績としての有効性も高いのでおすすめです。
- 豊富な種類のオンラインセミナーが用意されている
- アーカイブ動画を見るだけで実績になる
- セミナー終了後のメールを参加証明書代わりに提示できる
リクルートエージェントは最大手のエージェントだけあって、内容が転職の役に立つという点でも評価されています。
さらに企業とのマッチング力も高く、効率的に求職活動を進めたい人におすすめできます。
求職活動2回以上とは2回でいいのか?によくある質問
求職活動実績2回以上について、よくある質問と回答をまとめました。
求職活動実績の対象になるのは、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間に行われた求職活動のみです。
そのため職業相談は実績として認定されますが、認定日当日のものは、次回のカウントになります。
ただし一部のハローワークでは、相談に乗ってくれることもあります。あくまで各ハローワークの判断次第なので、必ず窓口で確認が必要です。
ハローワークでは実績内容の証明提出を求められるため、求職活動のふりをしても、後日照合された際に発覚するリスクがあります。
発覚した場合、給付金の返還だけでなく、延滞金や刑事罰の対象になることもあります。
ハローワークや転職サービスは無料で活用できるため、実績を積むことはそれほど難しくありません。
誠実に活動することが、最終的にはスムーズな就職や再就職につながります。
ただし、同じ日に複数回相談しても1回分しかカウントされません。
求職活動実績2回以上の要件を満たすには、相談を異なる日におこなう必要があります。
































