ケース面接はコンサルタントへの転職で実施される面接手法で、難易度が高く対策が必須です。
本記事ではコンサルへの転職を考えている人に向けて、ケース面接の対策方法や実際の解答例を解説します。
ケース面接とは?
ケース面接とは、外資系や戦略系のコンサルティングファームをはじめ、外資系金融会社など倫理的思考力が求められる企業で用いられる面接手法です。
ケース面接では様々な業界や分野でのプロジェクトに基づいた課題分析、課題解決などに関するディスカッションをおこないます。
具体的には、実際のビジネスで扱うようなテーマを題材とし、あらかじめ設定された仮想ケースと情報を提示された上で、「この会社の売上を3倍に伸ばすにはどうすれば良い?」といった質問に対して、倫理的に回答を導き出しプレゼンをおこないます。
ケース面接の流れは以下の通りです。
- 制限時間内にアウトプットを出す
- 面接官に対して回答をプレゼン
- 内容に対する面接官からの質疑応答とディスカッション
なお、ケース面接では必ずしも発表の段階で回答の精度が高い必要はありません。面接官とのディスカッションの中で回答を深められれば評価されます。
ケース面接とフェルミ推定との違い
ケース面接と似たものに、フェルミ推定があります。
ケース面接とフェルミ推定の違いは求めるものが数値なのか、課題解決の方法であるかです。
そもそもフェルミ推定とは、実際に調査することが難しい数量などを、いくつかの手掛かりを元に最低限の知識を使い論理的に概算することです。
例題としては以下が挙げられます。
- 今、地球上で何人寝ているでしょうか?
- 日本に電柱は何本あるか?
- 日本全国にハムスターは何匹いるか?
- スケートリンクでかき氷が何杯作れるか?
- 日本にいるカップルの数は何組か?
これらのフェルミ推定は、問題を見てもすぐに答えは出てきませんし、実際にこれらの答えを出題者は知らないことが多いです。なぜなら、フェルミ推定では導き出した答えの正確さよりも、答えに至るまでの仮説や思考プロセスが評価されるためです。
ケース面接も同じように思考プロセスは評価されますが、フェルミ推定のように数値を概算するのではなく、「あるラーメン店の売り上げを3倍にするにはどうすればいい?」など、具体的なケースに対しての解決策が求められます。
ケース面接で評価されるポイントまとめ
ケース面接で評価されるポイントは、コンサルタントに不可欠とされる以下のような能力や適正です。
- 論理的思考力
- 考え抜く力
- 知的好奇心
- 考察力
- 課題解決能力
- 傾聴力
- 思考の癖
- 発信力や伝える力
よく、ケース面接では論理的思考力や考察力、課題解決能力などの、頭のよさやロジカルシンキングの力のみを評価されると思われがちです。
しかし実際は、それらの能力に加えてプレゼンの話し方や質疑応答から、コミュニケーション能力なども評価されています。そのため、論理的に伝えることばかりに目を向けて、伝え方が雑になってしまうとあまり良い評価は得られません。
また、正解を導き出すことに重きを置いて考えてしまうことも失敗の原因となります。
ケース面接では、対策としてケーススタディなどをおこなう人が多いです。そういった人は、すでにケーススタディのように正確な正解を導く出すことに固執してしまう人もいます。
しかし実際のビジネスでは正解は存在しません。なので、決まった答えを追求するのではなく、様々な選択肢の中から成功率が高い打ち手を取捨選択することを意識したほうが、思考プロセスや仮説思考力が高いと評価されやすくなります。
ケース面接の問題と解答例
ここからは実際にケース面接の問題例と、その解答例を紹介します。
実際に企業のケース面接であった問題例として以下が挙げられます。
- この缶コーヒーの売上はこの3ヶ月間で半分に落ちています。それはなぜか考えられる要因を全部挙げよ。(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
- イギリスからの訪日旅行者の数を増やすには?(ボストン コンサルティング グループ)
- iPhoneケースの市場規模を推定せよ。また売上向上施策を考えよ。(ベイン・アンド・カンパニー)
- 日本のメーカーが海外メーカーに負けている原因は何か教えてください。(アクセンチュア)
- シャンプーの市場規模は?(デロイト)
ケース面接の解答例
ここでは、「イギリスからの訪日旅行者の数を増やすには?」についての回答例をご紹介します。
まず、1年間のイギリスから日本への旅行者人数を求める方法として、海外旅行人口×日本選択率×頻度の計算式を利用します。
イギリスはGDP上位の経済大国なので人口の1/3が富裕層とし、イギリスの人口約6000万人中、約2000万人が海外旅行にいける人口と仮定します。その際、海外旅行に日本が選ばれる確率は、観光地のある国おおよそ25ヶ国中の1つと考えるため4%とします。
ここで旅行頻度は2年に1度の0.5回とした場合、年間のイギリスから日本への旅行者人数は2000万×4%×0.5=40万人になります。
今回は訪日の目的をビジネスではなく観光目的と仮定して訪日人数を増やしていきます。そのためには、日本選択率を引き上げ、訪問頻度を2年に1回から1年に1回へ増やせれば、イギリスの観光人数を増やすことができます。
次に訪日人数を増やすための施策立案としてマーケティングの4C分析のフレームワークを使います。4C分析とは、製品やサービスを消費者が購買するときのメリットを4つに分けたフレームワークです。
4C分析にはCustomer Value(顧客価値)、Cost(顧客が費やす費用)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)とCで始まる4つの要素があります。
まずCustomer Valueについて考えます。日本を訪れる外国人は、日本のアニメ文化に共感を得て訪日することが多いです。さらに、ラグビーワールドカップでの日本人のマナーや歓迎ムードから、外国人は比較的日本へ友好的な印象を持って安全な旅行スポットとして認識していると考えられます。
次にCostです。イギリス人観光客の主な費用は、宿泊代、食事代、買い物代です。この中でもイギリス人は長い宿泊日数でゆっくり食事を楽しんだり、観光スポットを回る傾向にあるため、とくに宿泊代、食事代に費用をかけるとわかります。
そして旅行におけるConvenienceとしては、決済や交通、通信環境の利便性が挙げられます。日本ではまだ、クレジットカード決済、バーコード決済などが浸透していない土地があります。また、Wi-Fiなどの通信環境も整え、交通の利便性も高める必要があります。
最後にCommunicationとして、英語によるコミュニケーションが挙げられます。看板やメニューなど、イギリス人が快適に旅行できるように観光スポットの英語表示は必要です。
以上の分析結果よりイギリス人の日本滞在は長期になり、日本のアニメ文化へ関心が高いことがわかるので、観光客を増やすための手段として主要観光地以外にもアニメの聖地巡礼などを目的としたスポットのPRが導かれます。
またその際、交通の利便性を向上させるために英語対応したタクシーの本数を増やし、それぞれアプリによる予約やオンライン決済を導入することで観光客の満足度が上がり、結果としてさらなる観光客の上昇が見込めるとわかります。
ケース面接の対策だけで内定はもらえない
コンサルタントへの転職対策は、ケース面接対策だけでは不充分です。
なぜならコンサルタントの面接におけるケース面接の評価割合は、全体の3割から5割程度であるためです。
内定をもらうためには、一般企業での面接と同じように志望動機や入社後の目標、キャリアプランなどを答えられる準備をすることが重要です。
その際は、単純な志望動機だけでなく、入社後にどのようなプロジェクトに携わりたいのか、その理由など「実際に入社した後のイメージ」を具体的に伝えられると効果的です。
転職成功率を高めるなら転職エージェントがオススメ
コンサルタントへの転職では面接対策が必須です。しかし、ケース面接や志望動機の対策を1人でおこなうのはなかなか難しいです。
面接対策をするなら転職エージェントを利用するのがオススメです。
転職エージェントは転職者にマッチした求人を紹介してくれ、さらに面接対策などのサポートを実施してくれます。
末永 雄大
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