生命保険業界からの転職(再就職)を考える理由は人それぞれですが、「ノルマがきつい」「将来が不安」「キャリアの幅を広げたい」といった声が多く聞かれます。
この記事では、生命保険業界で培った経験やスキルを活かせる転職先や、未経験でも挑戦できる職種について現役転職エージェントが詳しく解説します。
転職を失敗しないように、強みが伝わる志望動機のポイントや未経験からの異業種転職のコツを理解しておきましょう。
生命保険業界からの転職は書類も面接も通過しやすい?
生命保険業界から転職を希望される方は、実は「書類選考通過率」や「一次面接通過率」が比較的高い傾向にあります。
その理由は、生保営業で培ったコミュニケーション能力や提案力、成果に対する意識の高さが他業界からも評価されやすいからです。
特に、営業職・カスタマーサクセス職・人材業界などでは、保険業界での経験が『数字で語れる実績』として評価される場面も多く、即戦力として期待されることもあります。書類に記載する実績(例:契約件数、達成率、顧客維持率など)も明確で、採用側がイメージしやすいのも強みです。
また、生命保険業界にいる方は「面接慣れ」している傾向があり、ロールプレイング形式の営業研修を受けているため、面接での受け答えがしっかりしている点も評価につながっています。
通過しやすいのに“ミスマッチ”が起こる理由とは?
書類や面接の通過率が高い一方で、実際に入社後の『ミスマッチ』が起こりやすいのが生命保険業界からの転職の特徴でもあります。その最大の要因は「転職の目的が曖昧」になりやすいことです。
生保営業だと「ノルマがきつい」「残業が多い」「精神的に疲れた」といった理由で転職を決断するケースは非常に多くあります。これらの悩みは、異業界に移れば比較的容易に解消されるため、内定までは順調に進むことが多いのです。
しかし問題はその先。「とりあえず負担が軽い会社ならいい」「今より楽そうなら…」と、“条件面での妥協”や“受け身のキャリア選択”をしてしまうと、入社後に仕事へのやりがいや成長実感を得られず、早期離職につながるリスクが高まります。
企業側も、保険営業の強烈な数字ドリブン体質を評価して採用しているケースが多いため、入社後に「そこまでガツガツ働きたくない」となると、価値観のズレが顕在化してしまいます。

生命保険業界を辞めたい理由とは?
生命保険業界に従事している方が転職を考える背景には、特有の業務環境や業界構造によるストレスがあります。以下に代表的な転職理由(退職理由)を解説します。
ノルマの厳しさ・精神的プレッシャー
生命保険営業の多くは「個人ノルマ制」で動いており、毎月・毎四半期ごとに数値目標が課せられます。この数値を達成できなければ評価が下がるだけでなく、職場によっては上司からのプレッシャーや詰問も強く、精神的な負担が非常に大きいのが実情です。特に新規契約がメインの職場では、契約件数がそのまま自分の評価や収入に直結するため、常に数字に追われる毎日となります。
長時間労働・休日出勤の多さ
見込み顧客へのアプローチや契約者との面談、資料作成などに追われる日々は、早朝から深夜、場合によっては土日出勤が発生することもあります。特に営業活動は顧客のスケジュールに合わせる必要があるため、平日の夜や休日に訪問や商談が入ることも少なくありません。結果として、ワークライフバランスが取りにくいと感じる方が多くいます。
キャリアの将来性や年収の頭打ち
保険業界では実績によって年収が上がる一方で、継続的に高い成果を出し続けることが求められます。年齢が上がるにつれ新規開拓が難しくなる傾向もあり、将来的に安定したキャリアや年収を描けるのか、不安に感じて転職を考える方も少なくありません。また、営業以外のキャリアパス(企画・管理部門など)が見えにくい点も課題です。
顧客との信頼関係の維持が難しい
生命保険という商品は「必要性が見えにくい」「金額が高額」「契約後の満足度が実感しづらい」といった特徴があるため、顧客からのクレームや契約の解約対応などが精神的な負担になることがあります。特に親しい人や身内への営業で関係が悪化したという声も多く、ストレスの原因になりやすいポイントです。
デジタル化による業界変化のスピード
近年はインターネット保険やアプリによる契約手続きが主流となりつつあり、対面営業の価値や役割が見直される時代に入っています。従来型の営業スタイルでは成果が出にくくなる中で、時代に合ったスキルが求められるようになってきており、「この先ずっとこのままで良いのか」と将来に不安を感じる方も増えています。
生命保険業界の経験は転職で活かせる?
生命保険業界で培ったスキルやマインドは、異業種への転職においても大きな強みになります。以下では、転職活動でアピールすべき具体的な能力を紹介します。
コミュニケーション力・提案力
生命保険は「無形商材」であり、顧客の人生や価値観に深く踏み込む必要があります。そのため、相手のニーズを丁寧にヒアリングし、信頼関係を築いたうえで提案する力が自然と身につきます。これは、法人営業・人材紹介・カスタマーサクセスなどの職種において、非常に重宝されるスキルです。
営業力・クロージングスキル
厳しい営業現場で鍛えられた提案力・クロージング力は、他業界の営業職でも即戦力となります。特に、SaaS企業や不動産業界など「成果報酬型」の営業では、生保出身者の行動量や粘り強さが評価されることが多く、同僚以上の成果を早期に出す人もいます。

目標達成力・セルフマネジメント
数字に対して厳格な評価がある生命保険業界では、自ら目標を設定し、日々の活動を管理する「セルフマネジメント能力」が鍛えられます。これは、裁量が大きい環境や成果主義の企業で特に評価されやすいスキルです。実際に、KPIを自律的に管理できる人材は、多くの企業で重宝されています。
金融知識・保険商品に関する理解
生命保険業界で働く中で自然と身につけた金融リテラシーや保険制度に関する知識は、金融業界への転職において武器になります。また、資産形成やリスクマネジメントに関する知識は、ファイナンシャルプランナーやコンサルタント職でも活かせる要素です。

生命保険からのおすすめ転職先【職種別】
生命保険営業で培ったスキルは、他業界のさまざまな職種で高く評価されます。以下では、特におすすめの職種を紹介します。
法人営業・無形商材営業(IT、コンサル等)
生命保険と同じく「無形商材」を扱うITサービスやコンサルティング業界では、提案力やヒアリング力が大きな武器になります。顧客の課題を引き出して解決策を提案する営業スタイルは、生保営業の経験と非常に親和性が高く、早期に成果を出しやすい職種です。
カスタマーサクセス(SaaS企業など)
契約後の顧客対応や満足度向上を担うカスタマーサクセス職は、顧客との信頼関係構築に長けた生保出身者に向いています。SaaS企業ではリモートワーク導入や柔軟な働き方も進んでおり、ワークライフバランスも改善されやすい職種です。
人材紹介・キャリアアドバイザー
求職者と企業をマッチングするキャリアアドバイザーは、「人生に寄り添う提案」が求められる点で保険営業と近い要素があります。目標管理の文化も似ており、生保経験者が未経験から活躍しやすい分野です。

インサイドセールス(営業スタイルの変化に対応)
非対面での営業活動を行うインサイドセールスは、効率的に成果を出す仕組みが整っており、成長中のベンチャー企業を中心に需要が高まっています。電話やオンライン商談の経験が豊富な方には特におすすめです。

企画・マーケティング職(営業経験からのキャリアチェンジ)
「数字で語る」営業経験を活かして、売上データの分析や販促企画などに携わるマーケティング職に転職するケースもあります。商品や顧客に対する理解を活かし、より戦略的な仕事に挑戦したい方に向いています。

生保から事務職への転職は、キャリアアドバイザーとしてはオススメしません。理由としては近年、正社員より派遣社員に業務を委託することが増え、事務職としての市場価値が下がっている背景があるからです。
生命保険からのおすすめ転職先【業界別】
次に、生命保険業界からの転職で人気が高く、かつスキルが活かしやすい業界をご紹介します。
IT・SaaS業界(成長性・高年収・ワークライフバランス)
急成長中のSaaS企業は、営業経験を重視しつつ、成果に見合った年収や柔軟な働き方を提供しています。新しい価値を提案できる環境でスキルアップを図りたい方におすすめです。
人材業界(経験を活かしやすい)
人と向き合いながら課題を解決する人材業界は、生命保険の提案経験をフルに活かせます。求職者の将来設計に寄り添う仕事にやりがいを感じられる方も多くいます。
金融系(銀行・証券・保険代理店など)
金融知識を継続して活かしたい場合、同じ金融業界内でのキャリアチェンジも一つの選択肢です。特に法人営業やリテール営業などで経験が評価されやすく、スムーズな転職が可能です。
不動産業界(提案営業スキルを活かせる)
住宅ローンや保険など、顧客のライフプランに関わる知識を活かせる不動産業界。年収アップを狙いやすく、成約報酬型のインセンティブ制度にも対応できる方に適しています。
コンサル業界(営業経験+論理的思考)
提案営業に加えて論理的な思考力や問題解決力を磨いてきた方には、コンサル業界も選択肢になります。特に金融系や営業戦略系のコンサルでは、生保出身者の背景が強みになります。

異業界への転職をするなら、20代のうちの転職をオススメします。もし、異業界であっても現職と同じ職種での転職なら30代前半までは問題ありません。一方で「人事職」などの未経験職種の場合は「ポテンシャル採用」となるため20代までに転職を進めることをおすすめします。
生命保険から未経験職種に挑戦する際の注意点
生保から未経験職種に挑戦する際は、以下のポイントに注意しましょう。
年齢・転職回数と職種の選び方
未経験転職では年齢が上がるほど選択肢が狭まる傾向があります。30代以降の転職では、これまでの経験と親和性の高い職種を選ぶ方が採用率も高く、入社後のミスマッチも防げます。また、転職回数が多い方は、キャリアの一貫性をどう伝えるかも重要です。
スキル習得や資格取得の必要性
異業種・異職種に飛び込む際には、最低限の知識やスキルを事前に習得しておくことで、書類選考や面接の通過率が上がります。特にIT業界では、営業職であっても基本的なITリテラシーや業界理解が求められます。
研修制度の充実度や職場の支援体制を確認
未経験からの転職では、入社後のフォロー体制が成長のカギを握ります。入社前に、研修期間の内容やOJT体制、フィードバック文化の有無を確認しておくことが重要です。
入社後のキャリアステップの見通しを持つ
目の前の転職先だけでなく、その先のキャリアパスまで想像しておくことで、短期離職を防ぎ、自分の成長を実感しやすくなります。「この会社で何を得たいのか」を明確にしておくことが、成功への第一歩です。
生命保険からの成功事例・転職体験談
ここでは、実際に生命保険業界から転職してキャリアアップを果たした事例を紹介します。
実例①:30代女性がSaaS営業にキャリアチェンジ
保険営業として10年以上働いてきた30代女性。育児との両立が難しく、ワークライフバランスを求めてSaaS企業に転職。生命保険で培った提案力が高く評価され、半年でトップセールスに。フルリモート勤務で子育てとの両立も実現。
実例②:20代男性が人材紹介業界で年収アップ
新卒から保険営業として奮闘していた20代男性。もっと人に寄り添える仕事がしたいと考え、人材紹介業界へ。マッチング力やヒアリング力を活かし、初年度から社内表彰。年収も前職比で150万円アップ。
実例③:40代男性が保険営業から金融コンサルへ
保険業界歴20年以上の40代男性。今後のキャリアに不安を抱き、より専門性の高い職種を目指して金融コンサルへ転職。FP資格や実務経験が活かされ、大手コンサルファームに内定。クライアントとの信頼構築力を武器に活躍中。
転職理由(退職理由)の伝え方に注意
生命保険業界からの転職では、現職への不満を理由にする方が多く見られます。「労働環境がきつい」「給料が低い」など、正直な気持ちかもしれませんが、伝え方には注意が必要です。
ネガティブな理由をそのまま話してしまうと、採用担当に「また同じ理由ですぐ辞めてしまうのでは」と不安を与えてしまいます。
そのため、伝え方を工夫し、前向きな理由に言い換えることが大切です。イメージとしては、「現職への不満:転職の目的=2:8」の割合で話すと、好印象を与えやすくなります。
とはいえ、無理にポジティブな理由を考えると、よくある一般論になってしまい、採用担当に見抜かれることもあります。
自分だけではうまく理由がまとめられない場合は、転職エージェントの活用がおすすめです。エージェントは、面接対策や志望動機の添削もサポートしてくれるため、書類選考や面接の通過率を高めることができます。
生保からの転職で後悔しないために
生命保険業界からの転職では「転職先とのミスマッチ」に注意が必要です。せっかく転職しても「社風が合わない」「仕事内容がイメージと違う」と感じてしまうと、再び転職を考えることになりかねません。
後悔しない転職を実現するためには、事前の企業分析が欠かせません。業界や企業ごとの特徴、実際の業務内容などを深く理解することで、自分に合った転職先を見極めることができます。
特におすすめなのが、転職エージェントの活用です。転職エージェントは、企業の社風や働き方、配属先での具体的な業務内容まで把握しており、求人票だけではわからない内部情報を提供してくれます。
生保から異業種・異職種へ転職を考えている方にとっては、プロの視点でマッチする企業を提案してもらえるため、ミスマッチのリスクを大幅に減らすことができます。
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