IT・通信の有効求人倍率は、他業種と比較しても高くなっています。有効求人倍率が高いということは、 応募者よりも求人数の方が多いということです。つまり、IT業界への転職は、比較的しやすいといえるでしょう。
そんな中でも、SIerからの転職は難しいと言われています。SIerからの転職が難しいと言われるのには、理由があります。SIerからの転職を成功させるためには、成功のポイントを理解しておくことが大切です。
SIerからの転職で失敗しやすいパターンや転職時の注意点を理解して、SIerからの転職を成功させましょう。
SIerからの転職は難しい?
SIerからの転職は、難しいと言われることが多いです。しかし、正しい転職先の選び方や転職時の注意点を理解していれば、転職するのは難しくありません。
IT・通信の有効求人倍率は、他業種よりも高いため、転職先選びを間違えてしまうと、転職先がなかなか決まらなかったり転職の目的を果たせなかったりします。SIerから転職する際は、転職の目的を明確にし、正しい知識を身に付けた上で転職しましょう。
SIerから転職する際のポイントを理解しておけば、転職後に後悔したと感じるリスクを少なくできます。
SIerで働くSEの主な転職理由
SIerで働くSEの主な転職理由を1次請けと2次請け以降に分けて解説していきます。
1次請けの場合、下記が挙げられます。
- プログラミングができない
2次請けだと、以下の理由が考えられます。
- 残業時間が多く体力的に辛い
- 上流の工程に関われない
- 将来が不安
SIerからの転職を成功させたいなら、転職理由を明確にしましょう。転職理由を明確にすれば、どんな対策をすれば良いのかも明確になります。
では、以下でそれぞれの理由を解説していきます。
プログラミングができない
コードを書きたくてSIerのSEになったのに、1次請けだと上流工程だけを担当することになった、という例を聞きます。
Slerによっては自分自身がやりたい仕事に関われない仕事以外の業務がメインとなることもあります。大手SIerは特に、顧客対応や調整業務、ドキュメントの対応などの業務が中心となりやすいため、やりがいを感じづらいことから転職を考える人も多いです。
プログラミングをしたいと考えていた人や、仕事をしていく中でプログラミングをしてみたいと感じた人にとっては大きなギャップだと思います。
この場合、2次請けに転職するのも手ですが、制度があり、社内で下流工程も請け負っていれば社内転職も視野に入れてみましょう。
残業時間が多く体力的に辛い
SIerで働くSEの主な転職理由として、残業時間が多く体力的に辛いことが挙げられます。Slerは、プロジェクトによっては残業時間が多くなりやすいです。SIerが請け負うプロジェクトは、明確なスケジュールが決まっているものだけではありません。
緊急で対応すべき案件やトラブルに見舞われることもあり、ストレスを感じることも多いです。
また、SIerで仕事をしているSEの中には、クライアント先へ赴いて仕事をすることもあります。慣れない環境や緊張感のある職場へ常駐することで、精神的にも疲労を感じやすいです。
上流の工程に関われない
1次請けで下流工程に関われないことに悩む人もいますが、2次請け以降で上流工程に関われないと悩む人も多いです。
どちらの場合も注意しなければならないのは、転職理由の伝え方です。
仕事をしていく中で、別の工程に関わりたいと考えるようになったのであればそれを素直に伝えて問題ないのですが、就職時に想像していた仕事とのギャップが原因で転職を考えている場合、企業研究が不足していたと思われます。
転職でも同じ間違いを繰り返すのではないかという懸念を抱かれてしまうので、必ず自責にして伝えましょう。
その上で、しっかり反省していること、転職活動ではしっかりと企業研究をしていることをアピールしましょう。
将来が不安
特に下流の工程を担当している人に多いのが、将来性を不安視している場合です。
確かに、SaaSを採用する企業が増えると、2次請け以降の企業には仕事が回ってきません。
昨今はSIerを利用した場合のコストの高さからSaaSに変える企業も多く、2次請け以降の企業で働いているSEには危機感を抱いている人もいるようです。
SIerからのおすすめの転職先
SIerからのおすすめの転職先は、下記3つです。
- 年収を上げたいなら「ITコンサル」
- 働き方を変えたいなら「社内SE」
- 仕事にやりがいを感じたいなら「自社開発」
- 職種を変えたいなら「無形商材の法人営業」
SIerから転職する際には「何をしたいのか」を明確にすることが重要です。同じIT業界でも、企業によってどんな目的を達成できるのかが異なります。転職理由に沿った転職先を選べるかどうかで、転職後も満足して働けるかどうかが決まります。
年収を上げたいなら「ITコンサル」
SIerからの転職で、年収を上げたいなら「ITコンサル」がおすすめです。ITコンサルは、SIerよりも年収が高いため、年収に対して不満を抱きにくいでしょう。SIerとITコンサルの年収の違いは、下記表の通りです。
SIer年収 | ITコンサル年収 |
約461万円 | 約642万円 |
年収だけを考えると、約180万円ほど年収に差があります。しかし、ITコンサルは簡単に転職できるわけではありません。ITコンサルは、ITの知識だけでなく会計や経営学の知識も必要となるため、様々な経験を積んでから転職するのがおすすめです。
働き方を変えたいなら「社内SE」
SIerでの働き方を変えたいなら「社内SE」がおすすめです。SIerは外部から委託された業務が多いため、納期が厳しくなります。反対に、社内SEならSIerほど納期に厳しくなく、体力的な負担が軽減しやすいです。
SIerのように激務だと、新たなスキルを取得するための勉強時間も確保できません。将来上流工程へ転職したいと考えているなら、社内SEでスキルや経験を身に付けた上で、再度転職するのがおすすめです。
仕事にやりがいを感じたいなら「自社開発」
仕事に対してのやりがいを感じたいなら「自社開発」の企業へ転職するのがおすすめです。SIerでの業務は、基本的にクライアントワークが中心となります。そのため、自分のやりたい業務がほとんどできません。
しかし、自社開発企業のエンジニアへ転職すれば、アイディア出しからシステム開発までを経験できます。自社開発企業で働けば、スキルや経験が身に付くだけでなく、自分自身の成長も感じやすいためおすすめです。
職種を変えたいなら「無形商材の法人営業」
そもそも業界・職種を変えてキャリアを歩んでいきたい、と考えている人に一番おすすめなのが無形商材の法人営業です。
営業職は専門的な知識が要求されないことが多く、未経験者が転職しやすいです。
また、営業の難易度から無形商材で、法人を相手にしていると最も市場価値が上がりやすいです。
SE出身であれば、その専門スキルを活かしてIT企業へ転職するのが有利になっておすすめですよ。
特にSaaSは現在勢いを増しているので、営業職が不足している企業が多く、ポストが空いていることが多いです。
SIerのアピールポイント
SIerから転職するにあたって、面接でアピールできる部分を1次請けと2次請け以降でまとめてみました。
面接を控えているSEの皆さんはぜひ目を通してみてください。
大手とセッションした経験
大手企業をクライアントにシステムを導入した経験は、特に営業職で評価されますが、どのような業界でも再現性のあるスキルが身についていると判断されることが多いです。
というのも、大手企業にシステム導入の意思決定をさせるには、クライアントの社内政治を把握し、誰がキーマンなのかを見極めなければならないからです。
このような手段で大手企業から受注を受けた経験があれば、忘れずにアピールしましょう。
エンジニアのディレクションの経験
これは、2次請け以降のSEが1次請けに転職する際にアピールできる経験です。
1次請けの面接で求められるのはコーディング以外の経験です。
そのため、人手が足りていない中で自分の業務と並行してディレクションをおこなった経験があれば、それは汎用性のあるスキルとして評価されます。
SIerからの転職で失敗しやすいパターン
SIerからの転職で失敗しやすいパターンとしては、下記3つが挙げられます。
- 転職先で活かせるスキルが足りない
- 実績を上手く伝えられていない
- 年収や待遇の充実度が下がりやすい
SIerから転職する際には、上記が原因で転職に失敗してしまっている人も多いです。しかし、転職前に失敗しやすいパターンを繰り返しておけば、同じ失敗を繰り返さずに済みます。
転職先で活かせるスキルが足りない
SIerからの転職で失敗する人は、転職先で活かせるスキルが足りていない可能性が高いです。SIerとして働いていると、自分の意思とは関係なく業務に偏りが出てしまいます。
例えば「本当は開発業務がやりたいけど実際は管理の仕事ばかり」のようなケースです。転職先にもよりますが、エンジニアとして転職するなら開発経験がなければ転職に不利になってしまいます。
自分自身で、スキルが偏っていると感じるなら、今までのスキルを活かせそうな転職先を選ぶことが大切です。年齢によっては、スキルだけでなくポテンシャル採用を行なっている企業もあります。
実績を上手く伝えられていない
SIerとしての実績をうまく伝えられていないと、転職に失敗しやすくなります。SIerと言っても、仕事内容に偏りがあるため、自分自身が何をしたのかを明確に伝えなければいけません。
また、面接ではエンジニア以外の人が対応することもあります。専門用語ばかり使ったり実績が分かりづらかったりすると、非エンジニアの面接官には好印象を与えられない可能性があります。
どんな面接官が面接しても合格できるように、様々な引き出しを用意しておくことが大切です。
年収や待遇の充実度が下がりやすい
SIerからの転職では、年収や待遇の充実度が下がりやすいことも失敗しやすいパターンの1つです。転職自体が成功しても、転職後に不満が出ると成功とは言えません。SIerからの転職先としては、主に下記3つが挙げられます。
- 他企業のSIer
- 社内SE
- 自社開発企業
例えば、大手SIerから社内SEやWebエンジニアへの転職をする際には、年収や待遇の充実度が下がりやすいです。SIerでの年収や待遇に不満がある場合には、転職希望先の条件を確認しておかなければ後悔する可能性があります。
SIerから転職する際の注意点
SIerから転職する際には、下記2つに注意しましょう。
- 開発の流れが異なることがある
- SIerのメリットデメリットも理解しておく
SIerから転職したいと考えている人は多いですが、すぐに転職した方が良いわけではありません。自分自身の状況と転職後の状況を踏まえた上で、どちらが良いのかをしっかりと考えましょう。SIerから転職する際の注意点を理解しておけば、転職後に後悔する可能性は低いです。
開発の流れが異なることがある
SIerから転職する際には、企業によって開発スタイルが異なることを理解しておきましょう。SIerは、基本的に「ウォーターフォール開発」が主流です。Web系企業は「アジャイル開発」が主流なことが多いため、知らずに転職してしまうと苦労する恐れがあります。
ウォーターフォール開発とアジャイル開発の違いは、下記表の通りです。
ウォーターフォール開発 | アジャイル開発 |
上流工程から下流工程までを順番に進める | 小さな開発サイクルを繰り返す |
どちらの開発方法を使うかは、開発規模や開発機関によって異なります。SIerからの転職を考えているなら、転職先企業がどのような開発方法を使用しているかを調べておきましょう。
開発方法の違いについて事前に理解しておくことで、転職後すぐに活躍しやすくなります。
SIerのメリットデメリットも理解しておく
SIerとして働くことは、デメリットばかりではありません。SIerだからこそのメリットもあるため、転職前に必ず理解しておきましょう。SIerのメリットデメリットは、下記表の通りです。
SIerで働くメリット | SIerで働くデメリット |
関わるプロジェクトの規模が大きい | 専門的なスキルを身に付けづらい |
安定した企業が多い | やりたい業務ができないことが |
給料や待遇などが充実している | 体力的に辛い |
様々な業務に携われる | SIerの規模によっては待遇が充実していない |
専門的なスキルを身に付けづらいのは、大きなデメリットです。しかし、様々な業務に携われることが多く、幅広い知識を身に付けられます。
また、安定した企業が多いため、年収や待遇などが充実していることも多いです。SIerからの転職を考えている人は、SIerで働くメリットデメリットを理解した上で、本当に転職するかを検討しましょう。
SIerから転職するなら目的を明確にしよう
SIerからの転職では、過去の経験をもとに「将来どうなりたいのか」を明確にしておくことが大切です。転職における将来像が明確になっていないと、無駄な転職を繰り返してしまう恐れがあります。
無駄な転職を繰り返しても、自分自身のキャリアに傷をつけることになってしまうため注意しましょう。SIerからの転職を考えているなら、今回の内容を参考にした上で、希望の転職先へ転職しましょう。
しかし、SIerから転職する場合、20代の方の場合は選択肢も豊富にあり、安易に転職先を決めてしまい、短期離職につながるケースが多いです。
そんな時に、自分に合った転職先を選びながら、選考対策を行い転職決定率を上げる為に、転職エージェントを活用しながら転職活動することをオススメします。
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