転職エージェントが教えるブラック企業の特徴と見分け方

転職エージェントが教えるブラック企業の特徴と見分け方

リクルートエージェント

人生のターニングポイントでもある転職で、その転職先がブラック企業だとしたら、悔やんでも悔やみきれないでしょう。求職者が転職活動でまずしなければならないことは、良い企業に転職することや自分の希望条件に合致した企業に転職することではありません。

何よりも大事なことは、ブラック企業への転職回避です。しかし、ブラック企業の見極めは、求人企業に転職していない求職者にとっては至難の業です。そこで今回は、転職エージェントの立場から多くの企業を知る私からブラック企業の見極めについて紹介します。

ブラック企業の定義を決める

まず、ブラック企業の定義について決めたいと思います。

ブラック企業とは、求職者にとって転職後にマイナス面が多い企業のことを言いますが、具体的には、低賃金重労働(長時間労働)、各種ハラスメント、残業代未払いなどがあります。

なかでも最近問題になっているのは、残業代を支払わずに長時間労働させて、労働者を駒扱いする企業です。

労働者に残業をさせる場合、必ず割増賃金を支払う義務が企業にはあります。労働基準法にも明記されていることですが、これを求職者からするとわかりにくい形にして結果的に払わない企業も多いです。

そのテクニカルな方法とは、みなし労働時間制です。みなし労働時間とは、月給に予め残業代を含めている仕組みのことを言います。

内定を取った後に内定通知書が企業から提示されますが、そこにみなし労働時間制とあったら、絶対にその内訳を確認するようにしてください。

ブラック企業の特徴とは?みなし残業代の落とし穴に注意

ブラック企業の代表的な特徴のひとつが、「みなし残業代(固定残業代)」制度の悪用です。

みなし残業代とは、あらかじめ一定時間分の残業代を月給に含めて支払う制度ですが、ブラック企業はこれを利用して、実際に働いた時間に対して正当な残業代を支払わないケースがあります。

例えば、求人票や内定通知書に「月給30万円」と書かれていても、内訳を確認すると以下のようなパターンがあります。

  • 基本給:20万円
  • 住宅手当・通勤手当など:3万円
  • みなし残業代(45時間分など):7万円

一見すると高い給与に見えますが、実質的な基本給が極端に低く、残業代が上限付きで固定されているため、45時間を超える残業をしても追加の手当が支払われない…という事態になりかねません。

さらに悪質な企業では、基本給を月の労働日数で割ると最低賃金を下回っていることもあるほか、「残業時間が多い=生産性が低い」として、逆に給与から控除されるケースさえ報告されています。

これは法的にグレーな対応ですが、求職者にとっては「いくら働いても残業代が支払われない」という深刻な問題に直面する可能性があります。

ブラック企業を見抜くポイント

ブラック企業を避けるためには「求人票の給与内訳」「みなし残業時間」「基本給の額」をしっかり確認しましょう。月給だけを見て判断するのは危険です。内定通知書や雇用契約書は、納得いくまで細部をチェックすることが重要です。

転職エージェント末永
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求人情報の表面だけでは、ブラック企業かどうかの判断は難しいものです。みなし残業制度の運用実態や社内の雰囲気を把握するには、企業に詳しい転職エージェントの力を借りるのが安心です。一人で悩まず、プロに相談することで、後悔しない転職を実現しましょう。

ブラック企業は2つのタイプに分かれる!見極めるべき特徴

ブラック企業と一口に言っても、すべてが同じ特徴を持つわけではありません。実は、大きく分けて2つのタイプに分類できます。

タイプ①:会社は儲かっているのに社員に還元しない企業

経営自体は安定しており、会社として十分な利益を上げているにもかかわらず、経営者が利益を社員に還元せず、待遇が悪いパターンです。

こうした企業には優秀な社員が多く在籍していることもあり、転職市場でも評価されやすく、より条件の良い企業への転職も比較的スムーズに行えます。

タイプ②:利益が出ておらず、長時間労働で維持している企業

もっと深刻なのがこちらのタイプです。会社自体が儲かっておらず、社員の能力も十分でないため、生産性が低く、結果として長時間労働で何とか利益を確保しているような企業です。

社員にスキルや経験が蓄積されにくいため、いざ転職しようとしても他社で通用する力がなく、キャリアが停滞するリスクが高まります。

本当に避けるべきブラック企業とは?

ブラック企業の中でも特に注意すべきは、利益が出ていないのに長時間労働を強いる企業です。自分の将来を守るためにも、求人選びの段階で「経営状況」や「社員のスキル育成環境」を見極めることが重要です。

転職エージェント末永
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どんな企業があなたのキャリアにプラスかを判断するには、表面的な求人情報だけでなく、その企業の内部事情を知ることがカギです。ブラック企業を避け、スキルが磨ける環境に出会うためにも、転職エージェントに相談して客観的な視点を取り入れてみましょう。

ブラック企業の見分け方とは?求人情報で注意すべきポイント

表面的には魅力的に見える求人情報でも、ブラック企業にはいくつかの共通したサインがあります。求人サイトの求人票からブラック企業を見抜くための具体的なポイントを解説します。

【見分け方1】業績欄が空白の求人は要注意

企業の求人情報には、過去数年分の売上実績や業績を記入する欄が設けられていることがあります。ところが、ブラック企業の多くはこの業績欄を空白のままにしているケースが多いのです。

これはなぜかというと、企業側が「業績が思わしくないことを隠したい」という意図を持っている可能性が高いからです。

当然ながら、求職者の多くは業績が安定している企業で働きたいと考えます。そのため、業績が悪くても人手が足りていないブラック企業は、詳細を伏せて採用活動を行う傾向があります。

こうした企業では、人件費を抑えるために残業代を支払わず、社員に長時間労働を強いるケースが珍しくありません。

求人票の業績欄が空白になっている場合は、「何か隠しているのでは?」と疑いを持ち、十分なリサーチを行うことが重要です。

【見分け方2】同時に複数職種を大量募集している

もう一つ、ブラック企業を見分けるヒントとなるのが「同時に多くの職種を募集しているかどうか」です。

特に転職サイトや転職エージェントでの求人検索時に、ひとつの企業が5職種以上の求人を同時に出している場合は注意が必要です。

企業の規模によって一概には言えませんが、通常、組織体制が整っている会社では一度に大量のポジションを募集することは少なく、必要なタイミングで必要な人材を採用するのが一般的です。

このような常時多職種募集の状態は、離職者が多く、人材が慢性的に定着しない職場である可能性が高いのです。

なお、例外として外資系や職種を細かく分けるカルチャーのある企業では、複数の職種を一括掲載しているケースもあるため、判断には慎重さも必要です。その場合は、過去の離職率や口コミ、面接時の質問への回答などをもとに総合的に判断することが大切です。

求人票の違和感を見逃さないことが重要

求人情報を見るときには、給与や福利厚生といった「わかりやすい条件」だけでなく、記載内容に不自然な点がないかをチェックする目が必要です。

  • 業績情報が載っていない
  • 職種の募集が多すぎる
  • 仕事内容があまりに曖昧

こうした点に当てはまる求人には、ブラック企業の可能性が潜んでいると考えておきましょう。

転職エージェント末永
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求人票だけでは判断が難しい場合も多くあります。ブラック企業を避けたい方は、業界の内情に詳しいリクルートエージェントに相談するのが近道です。表に出ない企業の評判や、実際の離職率、職場の雰囲気など、求職者だけでは得られないリアルな情報をもとに、安心して選考に進めます。

優良企業の特徴とは?転職を成功させるために見極めたいポイント

ブラック企業を避ける方法を知った次は、「優良企業の特徴」を理解することが大切です。

どれだけ条件が良さそうに見える企業でも、実際に働いてみると「思っていた職場と違った」「長時間労働が当たり前だった」ということは少なくありません。理想の転職を叶えるには、求人情報や選考過程から優良企業かどうかを見極める視点が必要です。

求人情報が具体的で透明性がある

優良企業の求人票は、非常に具体的で詳細な情報が記載されているのが特徴です。

例えば、以下のような情報がしっかり記載されている場合は、内部体制が整っている証拠です。

  • 配属予定の部署名(例:法人営業部 第2グループ)
  • 業務内容(例:既存顧客へのルート営業/新規開拓はなし)
  • 上司やチーム構成(例:マネージャー1名、メンバー4名)
  • 1日のスケジュール(例:10:00出社~18:00退勤/休憩60分)

これらの情報が明記されている企業は、入社後のミスマッチを防ぎたいという意識が強く、透明性のある採用活動を行っている優良企業の可能性が高いです。

一方で、仕事内容が「営業職(法人開拓)」といった曖昧な表現になっている場合は注意が必要です。

働き方改革に積極的に取り組んでいる

「働きやすさ」を重視しているかどうかも、優良企業を見極める大きなポイントです。

最近では、働き方改革の流れを受けて、社員のワークライフバランスに配慮した制度を整える企業が増えています。たとえば、以下のような制度が記載されている場合は要チェックです。

  • 在宅勤務制度(リモートワーク)あり
  • フレックスタイム制導入済み
  • 有給取得率80%以上/平均残業時間月20時間以下
  • 副業OK・育休復帰率100%

こうした制度は単なるPRではなく、「制度を導入して実際に運用しているか」が重要です。企業の公式サイトや採用ページ、口コミサイトなども合わせて確認しましょう。

選考フローが丁寧で段階を踏んでいる

選考プロセスの丁寧さも、優良企業を見分けるうえで非常に重要です。

たとえば、以下のような選考フローを採用している企業は、慎重に人材を選んでいる傾向があります。

  1. 書類選考
  2. 一次面接(現場社員やマネージャー)
  3. 二次面接(部門責任者)
  4. 最終面接(役員や社長)

このように、複数回の面接を経て内定を出す企業は、長期的に活躍してくれる人材を求めており、結果として離職率も低い傾向にあります。

反対に、書類選考なし・面接1回で即内定が出るような企業は、人材の定着をあまり重視していない可能性があり、注意が必要です。

社員の定着率や口コミ情報を確認する

最後に確認しておきたいのが「実際に働いている社員の声」です。

優良企業は、社員の定着率が高く、社内の雰囲気も良好であることが多いため、以下のような情報も参考になります。

  • 転職口コミサイト(OpenWork/転職会議 など)
  • 企業の採用ページに掲載された社員インタビュー
  • SNSでの社内イベントや働き方の投稿

定着率が高い企業は、それだけ職場環境や待遇が安定している証拠でもあります。

転職エージェント末永
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優良企業に出会うためには、求人票だけでなく「その企業がどんな価値観を持ち、どんな人を求めているか」を深く読み取ることが大切です。初めての転職で不安がある方は、非公開求人を多数取り扱うリクルートエージェントに登録することで、優良企業と出会えるチャンスが広がります。

ブラック企業に転職しない方法|失敗しない転職活動の進め方

ブラック企業への転職を防ぐためには、「一人で転職活動を進めないこと」が最も重要なポイントです。

特に第二新卒や若手社会人など、転職経験が少ない層は企業情報の収集が不十分になりがちです。その結果、企業の雰囲気や労働環境を深く理解しないまま、「聞こえの良い条件」だけで応募・入社を決めてしまうケースも少なくありません。

そこで有効なのが、第三者の視点を取り入れることです。たとえば以下のような手段があります。

  • 信頼できる友人・先輩からの紹介
  • キャリアカウンセラーへの相談
  • 転職エージェントサービスの活用

なかでも転職エージェントは、企業側の内部情報を把握しており、ブラック企業をあらかじめ排除したうえで求人紹介を行っているケースが増えています。また、選考段階でも面接対策や企業選びのアドバイスを受けられるため、入社後のミスマッチを減らすことができます。

特に中小規模の転職エージェントは、求職者一人ひとりと丁寧に向き合う傾向があり、ブラック企業の求人を紹介するリスクは限りなく低いといえるでしょう。

転職エージェント末永
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「良い企業に出会えるか」は、情報収集の精度で大きく変わります。ブラック企業を避けて転職を成功させたいなら、内部事情にも精通した転職エージェントを活用するのが近道です。信頼できるプロと一緒に、あなたに本当に合った企業を探してみませんか?

ブラック企業を避けたい方へ|見落としがちな危険サインとは?

ブラック企業に転職したくないなら、「選考回数の少なさ」にも注意が必要です。

最近では「面接1回」「書類選考なし」といったスピード採用をうたう求人も増えていますが、選考フローが極端に短い企業には、ブラック企業が紛れているケースもあります。

なぜなら、ブラック企業は「長期的に人を育てる」という発想がなく、短期間で辞められても構わないと考えている場合があるからです。そうした企業は、選考にかかる社内コストすらかけようとしません。

一方で、面接が複数回ある企業は、それだけ求職者を丁寧に見極め、長期的な関係を築こうとする意識が強い傾向にあります。あえて選考回数が多い企業を選ぶことで、結果的にホワイト企業との出会いにつながることもあるのです。

また、ブラック企業を避けるうえで重要なのが、どの企業でも通用する汎用性の高いスキルを身につけることです。特定の会社だけでしか通用しないスキルでは、市場価値が上がらず、選べる転職先も限られてしまいます。

転職エージェント末永
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「選考がラクだから」と安易に応募してしまうと、転職後に後悔することも。ブラック企業を見極めるには、選考フローや企業の採用姿勢を見抜く目を持つことが大切です。不安な方は、企業の内部事情に詳しい転職エージェントに相談して、リスクを最小限に抑えた転職活動を進めましょう。
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末永 雄大
青山学院大学卒業後、リクルートキャリア(現リクルート)に新卒入社。リクルーティングアドバイザーとして、企業の中途採用を支援。2012年アクシス株式会社を設立。代表取締役に就任。現役キャリアアドバイザーとして転職支援を行いながら、インターネットビジネスの事業開発、講演活動、執筆活動を行っている。著書「成功する転職面接」「キャリアロジック」