事務職を辞めたいと考えても「契約社員からの転職は難しいのか?」や「派遣社員から正社員は目指せる?」など、事務職からの転職で悩みを抱える人は多いです。
事務職からの転職(再就職)では、転職理由を明確にした上で、現在の仕事の不満点を前向きな理由に言い換える工夫が必要です。そして、適切な会社選び・面接対策をして、転職活動の後悔を防ぎましょう。
今回は、一般事務や営業事務からの転職難易度・おすすめ転職先を現役転職エージェントが解説します。事務職からの転職を失敗しないように、強みが伝わる志望動機のポイントや未経験からの異業種転職のコツを理解しておきましょう。
事務職から転職するのが難しい理由
転職相談の中でよくある相談に「契約社員の一般事務として働いているが、正社員として安定した雇用に就きたい」というものがあります。
特に大手企業で事務職として働いている契約社員・派遣社員の方からこの悩みを聞くことが多くなっています。
大手企業の一般事務は派遣社員が中心
現在の日本の大手企業の多くは、コスト削減と業務効率化の観点から、事務職の多くを派遣社員や契約社員でまかなっているのが実情です。
正社員としての採用枠はごくわずかであり、基本的には新卒採用で人材を確保しているため、中途採用での事務系正社員のポジションは極めて狭き門となっています。
また、事務業務そのものがマニュアル化・ルーティン化されており、非正規雇用でも対応可能な範囲で運用されていることが多いため、企業側としてはわざわざ高い人件費を払ってまで中途で正社員を採用する必要性が薄いのです。
正社員を目指すハードルの高さと給与のジレンマ
事務職で正社員への転職を目指す場合、たとえ求人があったとしても採用倍率が非常に高く、経験やスキルだけでなく、面接力やタイミングも求められます。
さらに問題となるのが給与条件です。中途採用で事務正社員になれたとしても、実は「派遣時代のほうが月給が高かった」と感じる方も少なくありません。
これは、正社員ポジションでは賞与を前提に年収が設計されていることや、新卒社員と同じ給与テーブルからスタートすることが多いためです。しかも、正社員とはいえ裁量がほとんどなく、キャリアアップのチャンスも乏しいケースもあります。
その結果、「待遇も仕事内容も大きく変わらないのに、給与だけが下がる」というギャップに戸惑い、転職に踏み出せない方が多くなってしまうのです。
中長期的なキャリアを見据えた選択を
とはいえ、将来的に安定した雇用や福利厚生、キャリア形成を望むのであれば、一時的に給与が下がったとしても、正社員としての実績を積むことは大きな価値になります。
「経験を積むためのステップ」と割り切り、20代のうちに正社員枠へ挑戦するのは、長い目で見れば理にかなった選択です。
転職市場では、「事務職から正社員になりたい」というニーズが高まる一方で、現実とのギャップに悩む求職者が多いのも事実です。

事務職の転職難易度は高いです。だからこそ一人で悩まずに、事務職からの転職支援実績も豊富なリクルートエージェントに相談しながら、求人の選び方や応募書類、面接対策まで含めて戦略的に転職活動を進めることをおすすめします。
事務職の市場価値
事務職人口の大半は女性です。
女性の場合、将来、結婚や出産、育児という人生で大きなイベントがあり、それを機会に会社生活から離れ家庭に入ることもあるでしょう。
また、出産育児を経て復職したとしても、家事や育児を中心に人生設計するため、会社に対して大きな貢献は難しくなりがちです。
今は、女性でも男性と同じ立場で管理職に就き会社に貢献するキャリアウーマンと呼ばれる人材もいますから、少しずつ事務職=女性の職制とならない環境もあります。
とは言え、男性が事務職を選ぶかと言えば、男性の場合、結婚後も一家の大黒柱として家族を支える役割になることが多いですから、昇格や昇給が期待できない事務職に就く人は少ない傾向にあります。
残念ながら、事務職という職種は資料整理や請求書発行など手足を使う仕事が中心で、転職市場では実務上あまり評価されない職種です。
事務職から転職するなら28歳前後がベストタイミング
事務職から異業種へ転職する場合、28歳前後が最も有利に動けるタイミングといえます。
企業側が未経験人材を採用する際に重視するのが「年齢とポテンシャルのバランス」です。特に事務職から営業やマーケティング、IT業界など異職種への転職を希望する場合、20代のうちは「これから育成できる人材」として評価されやすくなります。
30代以降になると即戦力が求められる傾向が強まるため、「未経験可」の求人は一気に減少します。だからこそ、20代後半はキャリアチェンジのラストチャンスとも言える重要な時期です。
ただのルーティン作業では採用されない理由
一方で、たとえ20代でも油断はできません。
特に注意したいのが、採用担当者の視点です。面接では「事務職でどのような価値を発揮してきたのか」「なぜ異業種に挑戦したいのか」「どんな努力をしてきたのか」といった質問がなされます。
その際「与えられた業務を淡々とこなしていただけ」「日々の業務に疑問を持たず、言われたことだけをやっていた」という姿勢では、評価されにくく、面接通過率も大きく下がってしまいます。
事務職は裏方に徹する仕事である一方で、改善提案やマルチタスク能力、関係各所との調整力といった“応用力”が求められる仕事です。こうした経験を自分の言葉で語れるかどうかが、転職成功の分かれ道になります。
面接対策で「未経験転職」の成功率は大きく変わる
たとえ未経験職種への転職であっても、面接での伝え方次第で選考突破の可能性は大きく変わります。
たとえば「今の事務職では○○にやりがいを感じていた」「△△という業務を効率化した経験がある」「その中で○○という仕事に興味を持つようになった」といったストーリーで伝えることで、面接官に「納得感のある志望動機」として受け取ってもらえるのです。
面接では表現力や論理的な話し方、質問への返答の仕方といったテクニックも必要です。こうしたスキルは自己流では限界があるため、プロの転職エージェントに相談して面接対策を受けるのが効果的です。

事務職で評価される強み・経験スキル
事務職の経験を活かし、次のステージに進むうえで欠かせない要素の一つがPCスキルです。
どの企業でも、ExcelやWord、各種業務ツールを使いこなせる人材は、業務の正確性やスピードにおいて信頼されやすく、即戦力として高く評価されます。そのため、転職活動においては、具体的な業務例とともにPCスキルをアピールすることが大切です。
事務職から事務職への転職であれば、これまでの経験をそのまま活かすことができます。一方で、異職種への転職となると、求められるスキルや資質が変わるため、少しハードルが上がるのも事実です。
しかし、特に20代の方であれば、ポテンシャル採用の対象となることが多く、企業側も将来的な成長を期待して、未経験の分野でも採用してくれる可能性は十分にあります。
また、面接の場では「どんな人柄なのか」も重要視されます。
たとえば、実務経験が浅い場合でも、チームの雰囲気を明るくできるような前向きな姿勢や、周囲と良好な関係を築く力が評価され、採用につながることもあります。これは決して“キャラ売り”ではなく、組織における人間関係の潤滑油としての価値を企業が重視しているからです。
したがって「スキル」と「人柄」の両面から自己PRを設計することが、事務職からのキャリアアップには非常に効果的です。実務経験だけで勝負しようとするのではなく、自分の強みを幅広く捉え、採用側の視点に立った自己アピールを心がけましょう。

事務職からのおすすめ転職先・キャリアパス
事務職からおすすめの転職先(キャリアパス)を紹介します。事務職経験が活かせて、内定を獲得しやすい職種になります。
人事・労務・総務
- 活かせるスキル: データ処理、書類作成、社内調整力
- 理由: 社内調整や正確な事務処理を活かせる。未経験でも採用されやすい傾向あり。
- おすすめの人: 安定志向・縁の下の力持ちタイプ
営業アシスタント → 営業職
- 活かせるスキル: スケジュール調整、顧客対応の補助経験
- 理由: 裏方からフロント業務へステップアップ。数字で評価されたい方に向いている。
- おすすめの人: 積極性があり、キャリアアップ志向が強い人
カスタマーサポート・カスタマーサクセス
- 活かせるスキル: 丁寧な対応力、文章力、PC操作
- 理由: 顧客とのメール対応などの経験がダイレクトに活きる
- おすすめの人: 人と話すのが好き、困っている人を助けたいという思いが強い人
Webマーケティング・広告運用
- 活かせるスキル: 数値管理・Excelスキル・分析力
- 理由: 近年人気の職種。未経験OKの求人も多く、業務効率化や事務処理スキルが武器に
- おすすめの人: 数字が好き、SNSやWebに興味がある人
広報・採用担当(人事)
- 活かせるスキル: 社内外との調整、文章作成、提案力
- 理由: 社内報・SNS・会社説明会の運営など、事務職経験者に求められる場面が多い
- おすすめの人: 発信することが好き、社内外との連携が得意な人
経理・会計アシスタント
- 活かせるスキル: 正確なデータ入力・事務処理能力
- 理由: 資格取得(簿記)でキャリアが広がる。専門性を磨きたい人に人気
- おすすめの人: コツコツ型、数字に強い人、資格で武装したい人
IT業界のサポート職(IT事務・PMアシスタント)
- 活かせるスキル: Excel、Word、チャットツールの使用経験
- 理由: IT業界は人手不足で未経験も歓迎。キャリアアップの土台にもなる
- おすすめの人: 新しいツールやテクノロジーに抵抗がない人
企画・商品開発アシスタント
- 活かせるスキル: 情報整理・リサーチ力・資料作成
- 理由: クリエイティブな職種の入り口。プレイヤーへのステップにもなりうる
- おすすめの人: 好奇心が強く、アイデアを形にしたい人

事務職からの志望動機【例文テンプレ】
事務職から転職で大事な志望動機の例文テンプレをまとめました。
汎用型(異業種・異職種にも対応)
前職では事務職として、スケジュール管理や書類作成などのサポート業務に携わってきました。その中で、関係部署と連携しながら業務を進める楽しさを実感し、「より主体的に業務改善や提案を行える環境で働きたい」と感じるようになりました。貴社では多様な業務に関われる点に魅力を感じており、これまで培った調整力・事務処理能力を活かしつつ、新しい挑戦をしたいと考えています。

キャリアアップ志向(総合職・営業職などへの転向)
これまで事務職として、営業担当のサポートや売上データの管理などを行ってきましたが、「自ら数字を動かす側になりたい」という気持ちが強くなり、転職を決意しました。特に貴社のように若手でもチャレンジを歓迎する社風に魅力を感じており、これまでの調整力や正確なデータ処理の経験を活かして、営業職として貢献したいと考えています。
業界志向(例:IT・Web業界)
前職で使用していた業務管理ツールやチャットツールなどを通じて、ITの利便性と可能性に触れる機会が多くあり、次第に「自分もそうした業界で働きたい」と考えるようになりました。貴社が提供するサービスはユーザー視点に立った設計がされており、日々の業務改善にも活かせるヒントが多くあると感じました。事務職で培った正確性・業務遂行力をベースに、IT業界でさらにスキルを広げていきたいです。

やりがい・貢献志向(人と関わる仕事・社会貢献系)
書類作成やスケジュール管理などの業務を通じて、誰かを支えることにやりがいを感じてきました。その一方で、もっと直接的に人と関わりながら貢献できる仕事に就きたいという思いが芽生え、転職を決意しました。貴社の〇〇事業は人に寄り添う姿勢を大切にしており、自分の志向とも一致していると感じています。裏方として支えてきた経験を糧に、今度はより前線で活躍できる人材を目指します。
ライフステージ志向(安定・働き方重視)
結婚を機に、よりワークライフバランスが取りやすく、長期的に働ける環境を探していたところ、貴社の柔軟な働き方に魅力を感じました。これまでの事務職経験で培った、丁寧な対応力や責任感を活かしつつ、貴社の一員として安定的に貢献したいと考えています。

事務職からの転職を後悔しないために
事務職からの転職は、未経験職種への挑戦やキャリアチェンジに不安を感じる方も多いでしょう。しかし、自分の強みや経験を正しく言語化し、企業に合った志望動機を伝えることができれば、チャンスは必ず広がります。
「このまま契約社員のままでいいのかな?」と感じたときこそ、自分のキャリアを見つめ直すタイミングです。一人で悩み続けるよりも、プロのサポートを受けながら進めることで、納得のいく転職を叶えることができます。
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