失業保険を受給する際、会社都合退職と自己都合退職では受給期間や給付金額が異なります。しかし、失業保険の制度について詳しくない場合は、会社都合と自己都合で給付条件にどのような違いがあるのか疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
会社都合でやむを得ずに退職したのなら、失業保険の受給面でも配慮がなければ納得しづらいですよね。
そこで今回は、会社都合退職した場合の失業保険の給付条件や金額、受給期間をはじめ、会社都合と自己都合の待遇の違いを、10年超えのキャリアを持つプロの転職エージェントが徹底解説します。
失業保険の申請手続きや、会社都合退職のメリット・デメリットも詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
失業保険上での会社都合退職・自己都合退職の定義
失業保険を受給する際に、会社都合退職と自己都合退職では給付基準が異なります。まずはそれぞれの退職方法の違いについて理解しておきましょう。
- 会社都合退職とは
- 自己都合退職とは
会社都合退職とは
会社都合退職とは本人の意思による退職ではなく、会社の事情でやむを得えずにおこなう退職のことです。会社都合退職をした人は失業保険の対象者として「特定受給資格者」と呼ばれます。
厚生労働省が発表している特定受給資格者の判断基準は、以下の通りです。
「倒産」等により離職した者
「解雇」等により離職した者
出典:厚生労働省
倒産で退職した人は、働く場所そのものがなくなってしまった状態であり、解雇で退職した人は会社の意向によってその職場で働けなくなってしまった状態を指します。

自己都合退職とは
自己都合退職とは、自分の意思や事情でおこなう退職のことです。具体的には、以下のような理由でおこなった退職は自己都合退職と判断されます。
- 結婚
- 出産
- 育児
- 体調不良
- 転職
- 引っ越し
ライフスタイルの変化や体調などさまざまな要因がありますが、根本的には退職者本人の事情によるものです。

会社都合退職の場合の失業保険の受給条件や給付額
会社都合退職の場合、失業保険がどのように支給されるのか確認しておきましょう。受け取れる金額や期間を把握できれば、求職活動中の生活をイメージしやすくなります。
想定していた金額や受給期間と異なるケースもあるので、しっかり目を通しておきましょう。
失業保険の受給条件
会社都合退職の人が失業保険を受給できる条件として、退職日までの1年の間に通算6ヶ月以上雇用保険に加入していた実績が必要になります。
自己都合退職では、退職日までの2年間で12ヶ月以上の被保険者期間を要するので、会社都合退職は自己都合退職より半分の期間で受給資格が与えられます。

失業保険の給付額
給付される金額は在職中の給料額によって異なるため、一概にはいえません。ハローワークで配られている離職者向けのパンフレットには、以下のように記載されています。
原則として、離職の日以前の6ヶ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額(「賃金日額」といいます)のおよそ5~8割で、賃金の低い方ほど高い給付率となっています。※ 60~64 歳の方については 45~80%
参考:厚生労働省
つまり、賃金日額は以下の計算式で算出が可能です。
ただし、賃金日額と基本手当日額にはそれぞれ上限と下限が設けられているため、以下の表と照らし合わせて確認する必要があります。
退職時の年齢 | 賃金日額の上限額(円) | 基本手当日額の上限額(円) |
---|---|---|
29歳以下 | 14,510 | 7,255 |
30~44歳 | 16,110 | 8,055 |
45~59歳 | 17,740 | 8,870 |
60~64歳 | 16,940 | 7,623 |
賃金日額の下限額(円) | 基本手当日額の下限額(円) |
---|---|
3,014 | 2,411 |
参考:厚生労働省
たとえば、29歳以下で賃金日額が15,000円だった場合、上限額の14,510円が適用されます。
年齢と賃金日額から基本手当日額(1日あたりの給付額)が導き出せる早見表を用意しておくので、ぜひ活用してみてください。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
3,014円以上5,340円未満 | 80% | 2,411円~4,271円 |
5,340円以上13,140円以下 | 80%~50% | 4,272円~6,570円 |
13,140円超14,510円以下 | 50% | 6,570円~7,255円 |
14,510円(上限額)超え | ー | 7,255円(上限額) |
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
3,014円以上5,340円未満 | 80% | 2,411円~4,271円 |
5,340円以上13,140円以下 | 80%~50% | 4,272円~6,570円 |
13,140円超16,110円以下 | 50% | 6,570円~8,055円 |
16,110円(上限額)超 | ― | 8,055円(上限額) |
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
3,014円以上5,340円未満 | 80% | 2,411円~4,271円 |
5,340円以上13,140円以下 | 80%~50% | 4,272円~6,570円 |
13,140円超17,740 円以下 | 50% | 6,570円~8,870円 |
17,740円(上限額)超 | ― | 8,870円(上限額) |
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
3,014円以上5,340円未満 | 80% | 2,411円~4,271円 |
5,340円以上11,800円以下 | 80%~45% | 4,272円~5,310円 |
11,800円超16,940円以下 | 45% | 5,310円~7,623円 |
16,940円(上限額)超 | ― | 7,623円(上限額) |
参考:厚生労働省

失業保険の受給期間
会社都合退職をした人の失業保険の受給期間は、待期期間の直後から90日~最大330日間です。
ただし、雇用保険に加入していた期間や年齢によって異なるので、詳しくは以下の表を確認してみてください。
年齢 | 受給期間 |
---|---|
全年齢 | 90日 |
年齢 | 受給期間 |
---|---|
30歳未満 | 90日 |
30歳以上35歳未満 | 120日 |
35歳以上45歳未満 | 150日 |
45歳以上60歳未満 | 180日 |
60歳以上65歳未満 | 150日 |
年齢 | 受給期間 |
---|---|
30歳未満 | 120日 |
30歳以上35歳未満 | 180日 |
35歳以上45歳未満 | 180日 |
45歳以上60歳未満 | 240日 |
60歳以上65歳未満 | 180日 |
年齢 | 受給期間 |
---|---|
30歳未満 | 180日 |
30歳以上35歳未満 | 210日 |
35歳以上45歳未満 | 240日 |
45歳以上60歳未満 | 270日 |
60歳以上65歳未満 | 210日 |
年齢 | 受給期間 |
---|---|
30歳未満 | ー |
30歳以上35歳未満 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 240日 |
参考:厚生労働省

会社都合となる退職パターン7選
会社都合となる具体的な退職パターンは以下の通りです。
自分の退職方法に疑問が残っている人は、ここで明確にしておきましょう。
雇用主から退職を勧奨された
雇用主から退職して欲しいと勧奨されて辞めた場合は、会社都合退職となります。本人に働く意思があるにもかかわらず、会社が雇用の継続を不可と判断しているためです。

職場で不当な扱いを受けた
職場で不当な扱いを受けて勤続が困難になった場合も、会社都合退職として申告できます。
嫌がらせやパワハラなど人間関係の問題だけでなく、過剰な時間外労働を強いられたり給料の支払いが滞ったりするのも不当な扱いとして認められます。

会社の事業継続が困難となった
会社の事業継続が困難となり、雇用の継続が難しくなった場合も会社都合退職と考えて問題ありません。
会社が経営不振に陥ったことと、本人の意思とは無関係だからです。

大勢の社員が一斉に退職した
自分の意思で退職した際に他の社員も一斉に退職していれば、会社都合退職扱いとなります。自分の判断で退職した場合であっても、他の社員が同じタイミングで大勢退職していれば会社側に問題があったと判断されるからです。

有期雇用で契約更新がなされなかった
派遣社員や契約社員などの有期雇用で、一方的に契約更新を断られた場合も会社都合退職となります。従業員本人が勤続を望んでいるにもかかわらず、会社側が雇い止めをして解雇する形になるからです。

会社が法的な不正を働いた
会社が法に触れる不正を働き、事業継続が困難になった場合も会社都合退職として対応してもらえます。事業継続が困難になった要因が会社側にあるからです。

会社の移転で通勤が困難になった
会社の移転で通勤が困難になり退職した場合も、会社都合退職として対応してもらえます。移転は会社の意向でおこなったものであり、従業員の意向ではないからです。

会社都合退職で失業保険を受給するための手続きの流れ
会社都合退職で失業保険を受給するための手続きの流れは、以下の通りです。
失業保険の受給申請をする際にスムーズに手続きできるよう、目を通しておきましょう。
1.失業保険の手続きに必要な書類を準備する
まずは、失業保険の受給手続きに必要な書類を準備する必要があります。必要書類が揃っていなければ手続きが進められないだけでなく、ハローワークに足を運ぶ時間が無駄になってしまいます。
失業保険の手続きに向かう際には、以下のものを準備しておきましょう。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 顔写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- マイナンバーカード
- 預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
会社都合退職をする場合、悪質な企業では離職票が発行されないケースもあります。もし離職票が渡されておらず、郵送でも送られてこない場合は、企業に直接連絡して発行を依頼しましょう。
それでも発行されない場合は、ハローワークに相談してみてください。ハローワークインターネットサービスでは離職理由の確認について以下のように記載されています。
ハローワークでは、受給要件を満たしていることを確認した上で、受給資格の決定を行ないます。このときに、離職理由についても判定します。
なお、離職理由に異議がある場合(実際は、事業主からの退職勧奨であるにも関わらず、自己都合退職とされている場合など)は、ハローワークにご相談ください。
また、離職票を提出する際には、離職理由が会社都合になっているかも確認しておきましょう。

2.ハローワークで手続きをする
自分の居住地を管轄するハローワークで、失業保険の受給手続きをおこないます。失業保険の受給申請をおこなうと、窓口で求職票の記入を求められるので、必要事項を記入してください。
もし離職票に「自己都合退職」と書かれている場合、この段階で会社都合であることを申告しましょう。失業認定を受ける前に自己都合退職として判定されてしまうと、その後の訂正手続きが困難になります。

3.待期期間として7日間を過ごす
失業保険が支給される前には、失業状態にあることを証明するために7日間の待機期間が設けられています。収入があると待機期間が延長されてしまうので、アルバイトは控えたほうが無難です。
待機期間後には求職活動をおこなわなければならないので、効率的に活動実績を作れるよう転職エージェントに登録しておくことをおすすめします。

以下の記事では失業保険の手続きの流れや必要書類、また転職エージェントの賢い使い方について紹介しています。気になる人はぜひ参考にしてみてください。
4.雇用保険受給者説明会に参加する
待機期間が終了したら、雇用保険受給者説明会に参加しなければなりません。説明会では失業認定の流れや求職活動の方法、1回目の認定日などの詳しい説明を受けられます。
雇用保険受給者説明会は、求職申込みをおこなった当日に日時指定があります。タイミングの目安としては、7日間の待機期間が終わってから1〜2週間の間です。所要時間は1〜2時間程度を見ておきましょう。

5.求職活動をおこなう
失業保険を受給するためには、求職活動をおこなう必要があります。失業保険を受給するためには失業認定を受けなければならず、失業認定を受けるには再就職の意思を証明する必要があるからです。
効率的に求職活動実績を作るためには、転職エージェントを活用するのがおすすめです。リクルートエージェントなら、実績となるキャリア相談やオンラインセミナーが利用できます。

求職活動実績の裏ワザや、効率よく実績を作る方法についてさらに詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になりますよ。
6.失業認定日にハローワークに出向く
失業認定日にはハローワークに足を運び、認定日までの求職活動実績を申告しましょう。実績を証明すれば、次回分の失業保険の支給が決定されます。
失業認定を受けるためには失業認定申告書で、認定日までにおこなった求職活動の実績を証明しなければなりません。認定日までにどのような求職活動をおこなったのか、必ず記入しておきましょう。
失業認定を受けるためには、受付を済ませてから順番待ちをしなければなりません。時間指定であっても、混み合う時間帯は待たされる可能性が高いので、スケジュールにゆとりを持たせておくのがおすすめです。

会社都合で失業保険を受給する際の注意点
会社都合で失業保険を受給する際には以下の点に注意しましょう。
失業保険は申請するだけでもらえるものではなく、受給に関するさまざまなルールが設けられています。注意点をよく理解してスムーズに受給しましょう。
会社都合退職でも自己都合退職扱いになるケースがある
会社都合で退職したとしても、すべてが会社都合退職と認められるわけではありません。会社に不利益をもたらして懲戒解雇された場合は、自己都合退職扱いになります。
会社都合退職が自己都合退職扱いになるのは、他にも以下のようなケースが該当します。
- 経歴などの個人情報を偽っていて解雇された場合
- 会社の設備を破壊して解雇された場合
- 業務違反や違法なことを犯して解雇された場合
- 会社の機密情報を漏えいして解雇された場合
- 就業規則を守らずに解雇された場合
- 個人的な利益のために会社名を利用して解雇された場合

自己都合退職扱いとなった場合は、以下の記事が参考になります。ぜひ併せて確認してみてください。
4週間に2回以上の求職活動実績が必要になる
会社都合で退職したとしても、失業認定を受けるためには4週間に2回以上の求職活動実績を証明しなければなりません。再就職に向けて積極的に活動している人でなければ、失業状態にあると認められないからです。
実績を証明できずに不認定となれば、失業保険の支給が一旦止められてしまうので、認定日の前日までに必ず2回分の求職活動実績を作りましょう。
効率的に求職活動実績を作りたいならリクルートエージェントのキャリア相談やオンラインセミナーを利用してみてください。
多くの転職者が利用するリクルートエージェントは、実績作りの体制も整っているため、登録しておけば効率よく求職活動実績を作れます。

リクルートエージェントのオンラインセミナーや同じく人気のあるdodaのセミナーについては、以下の記事で詳しい解説がチェックできます。ぜひ併せて読んでみてください。
収入制限や勤務制限がある
会社都合であっても、失業保険を受給するためには収入制限や勤務制限があります。失業中でも1週間に20時間以上働くと就業とみなされ、それ以下でも1日4時間以上の勤務になると勤務日数分失業保険の支給が先送りにされてしまいます。
勤務時間が1日4時間未満なら、1日の収入が賃金日額の80%を超えなければ失業保険を満額受け取れます。しかし、賃金日額の80%以上を超えると減額されてしまうので注意が必要です。

求職活動実績を虚偽申告すると罰則が科される
会社都合で職を失ったとはいえ、虚偽申告で失業保険を受給しようとする行為は禁じられています。
おこなってもいない活動をおこなったと申告する行為は虚偽申告となり、罰則の対象となるので注意してください。
他にも以下のような行為は虚偽申告とみなされます。
- 実際におこなっていない活動を失業認定申告書に記す
- 就労したにもかかわらず、その旨を失業認定申告書に記さない
- 自営や請負で事業を開始しているにもかかわらず、失業認定申告書に記さない
- 内職や手伝いで賃金を得たにもかかわらず、失業認定申告書に記さない
- 会社の役員に就任(名義貸しも含む)しているにもかかわらず、失業認定申告書に記さない
- 定年後に就労意欲がないにもかかわらず、失業保険を受給してから年金受給をしようとする行為
参考:厚生労働省

過去には、悪質性が高いと判断されて逮捕された事例もあるので、十分に注意しましょう。
会社都合退職で失業保険を受給するメリット
会社都合退職で失業保険を受給する際には、以下のようなメリットがあります。
自己都合退職との待遇面での違いについても解説するので、確認してみてください。
失業保険を早くもらえる
1つ目のメリットは、会社都合退職は自己都合退職よりも失業保険を早いタイミングでもらえることです。
会社都合退職と自己都合退職の受給タイミングを比較してみてください。
退職理由 | 支給開始日 |
---|---|
会社都合退職 | 求職申し込みをしてから7日間の待機期間の経過後 |
自己都合退職 | 7日間の待機期間の経過後+1~3ヶ月(給付制限)経過後 |
参考:厚生労働省

会社都合退職の場合は給付制限がないので、失業保険がスムーズに支給されます。
給付期間が長い
会社都合で退職すると、自己都合退職より失業保険の給付期間が長くなります。自己都合退職の給付期間が最大150日であるのに対し、会社都合退職の場合は最大330日です。
給付期間は雇用保険の加入期間と退職時の年齢によって異なるため、詳しくは以下の表を確認してみてください。
退職時の満年齢/加入期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
退職時の満年齢/加入期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
参考:厚生労働省

解雇予告手当を受け取れる可能性がある
会社都合で退職する場合は、解雇予告手当を受け取れる可能性があります。会社が従業員を解雇する際には、解雇する日付より30日前までに退職勧告しておかなければなりません。
退職日まで30日を切っている状態で退職勧告をした場合は、残日数を足して30になる日数分の平均賃金(解雇予告手当)を受け取れます。
解雇日より3ヶ月前からの給料総額÷3ヶ月間の総日数×30
退職勧告のタイミングと解雇予告手当の関係性を一覧でまとめたので、確認してみてください。
退職勧告のタイミング | 解雇予告手当の金額 |
---|---|
30日前 | なし |
退職日当日 | 平均賃金の30日分 |
退職日の20日前 | 平均賃金の10日分 |
参考:厚生労働省

会社都合退職で失業保険を受給するデメリット
会社都合退職は、再就職で必ずしも有利になるとは限らず、以下のようなデメリットもあります。
デメリットの部分にも目を通してよく理解しておきましょう。
個人の実力や勤務態度を疑問視される可能性が高い
会社都合退職をすると、再就職の際に個人の実力や勤務態度を疑問視される可能性があります。会社都合退職は会社の事情によって解雇となるケースと、会社に不利益をもたらして意図的に解雇されるケースがあるからです。
企業に応募する際には履歴書に退職理由を書かなければなりませんが、どのような事情によって解雇されたのかまではわかりません。
企業によっては、書類選考時にマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。

早期就職の必要があるケースが多い
会社都合退職をした場合は、早期就職を目指さなければならないケースが多いです。会社都合退職の場合は次の仕事が決まっていないうちに職を失うことになり、生活が不安定になってしまうからです。
特に家庭を持つ人にとっては重大な問題となるため、退職後に早い段階で再就職先を見つけなければなりません。心理的な負担を感じてしまう人も多い傾向があります。

雇用保険の加入期間がリセットされてしまう
雇用保険の加入期間がリセットされてしまうことも、会社都合退職のデメリットの1つです。失業保険は正式には「雇用保険の失業等給付の基本手当」であり、雇用保険に含まれています。
そのため、失業保険の給付を受けると雇用保険を使ったことになり、加入歴がリセットされてしまうのです。雇用保険は加入歴が長いほど受けられる恩恵が大きくなるため、自分の意図に関係なくリセットされてしまう会社都合退職の場合は、損をしたような気持ちになる可能性があります。

会社都合退職なのに自己都合退職にされた!本来の待遇で失業保険を受給するための対処法
勤務先によっては、会社都合で退職したにもかかわらず、自己都合退職にされるトラブルが起こる可能性があります。会社都合で退職者を出してしまうと、国からの助成金を受け取れなくなってしまうからです。
自己都合退職を一度認めてしまうと、訂正するのは困難です。万が一のときに備えて対処法を知っておきましょう。
会社都合退職をしたのに、離職票の退職方法が自己都合退職になっているときは、まず退職した会社に訂正を依頼してみてください。単なるミスの可能性もあり、すぐ訂正に応じてもらえればトラブルを回避できます。
会社に訂正を依頼をしても応じてもらえない場合は、ハローワークに相談しましょう。会社側が訂正に応じなくても、判断するのはハローワークなので、会社都合で辞める根拠となる資料があれば、受給資格を与えてもらえます。
会社都合退職を証明できる資料は以下のようなものです。
- 事業所移転の通知
- 事業所の移転先がわかる資料と離職者の通勤経路の時刻表
- 預金通帳や給与明細
- 労働契約書
- 賃金規定
- 始業時刻と残業時間を記録したメモ
- 賃金台帳 など
たとえば、事業所が移転してしまい通勤が困難になってしまった場合には事業所の移転先がわかる資料と離職者の通勤経路の時刻表を提示すれば、会社都合退職の根拠になります。

失業保険だけじゃない!早期に再就職すれば再就職手当を受け取れる
失業したときに国からの手当を受けられる制度は、失業保険だけではありません。早期に再就職すれば、再就職手当を受け取れます。
再就職が決まれば失業保険の支給がなくなりますが、生活が安定するだけなく給付金まで受け取れるので、大きなメリットがあります。
再就職手当については、以下の2点をしっかり確認しておきましょう。
再就職手当の受給要件
再就職手当を受給するためには、以下の8つ要件をすべて満たす必要があります。
- 就職日前日までの失業給付の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること。
- 待機期間満了後の就職であること。
- 離職理由による給付制限を受けた場合は、待機期間満了後1ヶ月間については、ハローワーク等または、許可届出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること。
- 離職前の事業主や、その関連事業主への再就職でないこと。
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
- 原則として、雇用保険の被保険者資格要件を満たす条件での雇用であること。
参考:厚生労働省

再就職手当の受給金額
再就職手当の受給金額は、再就職のタイミングによって給付率が変動します。本来の失業保険の給付日数をどれくらい残しているかが判断基準となり、残り日数が多いほど受給金額が大きくなります。
所定給付日数から残った日数 | 給付率 |
---|---|
3分の2以上 | 70% |
3分の1以上 | 60% |
たとえば、所定給付日数が180日で基本手当日額が5,000円の人が、120日残して再就職が決まった場合、以下の計算式で受給金額を算出できます。

会社都合で失業保険を受給する際によくある質問
会社都合で失業保険を受給する人がよく疑問に思う点をまとめました。気になる質問があれば、解説を確認してみてください。
提出する際には会社都合となっているか確認しておきましょう。もし、会社都合退職であるにもかかわらず、自己都合退職となっている場合は、ハローワークに相談してみてください。事実関係を調査してから離職理由を判断してもらえます。
自己都合退職のときよりも支給が早いとはいえ、受給手続きが終わったあとも7日の待機期間や説明会があるので、すべてを含めると1ヶ月程度の時間を要するケースが多いです。
再就職が決まるタイミングによっては、失業保険の総額が減りはしますが、給与をもらえるようになるので、生活の安定を考えるとメリットしかありません。
また、本来の給付日数のうち3分の1を残して再就職すれば、再就職手当を受け取れます。
とはいえ、試用期間は3ヶ月程度で設定されていることが多く、3ヶ月以内に会社都合退職をした場合は失業保険の受給対象とはなりませんので注意してください。
会社都合の場合は退職日から1年以上前に6ヶ月間の雇用保険加入歴があれば、失業保険の受給が可能です。
ただし、3,612円に達した場合は家族の勤務先を通して扶養から外れる手続きが必要になります。
会社都合の退職を出すと、会社側は助成金の支給が停止されたり、世間体が悪くなるデメリットがあります。そのため、退職届を提出させて自己都合扱いにされるケースもあります。
何も知らずに提出すると自己都合退職扱いにされてしまうため、提出するのは控えましょう。
どうしても提出しなければならない場合は、退職理由を「一身上の都合」とは書かずに「貴社、退職勧奨に伴い」と記入するようにしてください。
逆に自己都合退職を会社都合退職とされた場合でも、事実確認をおこなったうえで会社都合退職と認められるケースもあります。それほど徹底したヒアリングがおこなわれるので、嘘は通用しません。
虚偽申告をして失業保険の受給待遇を有利にしようとする行為は不正受給に該当するため、罰則の対象となります。自己都合退職なのに会社都合退職と申告するのは避けましょう。
失業保険のための求職活動実績作りには転職エージェントを活用しよう
失業保険を受給するために求職活動実績を作る際には、転職エージェントを活用しましょう。転職エージェントに登録すると、実績となる以下の求職活動が可能になります。
- オンラインセミナーの受講
- キャリア相談
- 求人応募
求職活動の選択肢が広がるだけでなく、全てが自宅で完結するので、効率的に実績を作れる点が大きなメリットです。なかでもおすすめなのはリクルートエージェントです。
業界トップクラスの利用者数を誇るリクルートエージェントは、オンラインセミナーの種類が豊富で、内容が被らないものを受講すると複数回の実績を作れます。
キャリア相談では独自の転職支援ノウハウや企業情報を駆使して、求職者が有利に再就職を進められるようサポートしてくれます。
会社都合で退職を余儀なくされた人は、再就職を急がなければならないケースも多いです。そんなときには、転職支援のプロであるリクルートエージェントの力を借りて、成果につながりやすい求職活動をおこなってみてくださいね。