求職活動実績を作る際に、「職業訓練は実績として認められるのか」と疑問に思う人は多いです。
職業訓練は特別な位置づけがされており、受講そのものが実績となるだけでなく、さまざまな優遇措置も受けられます。
本記事では、職業訓練が求職活動実績として認められる理由や、受講中の失業認定の扱い、注意すべきポイントを解説します。
職業訓練は求職活動実績になる?
ハローワークで提供される職業訓練は、求職活動の一環として正式に認定されます。
職業訓練受講中の手続きに関するポイントは、主に2つあります。
- 職業訓練の受講自体が求職活動実績になる
- 職業訓練の受講中は求職活動実績の報告は必要ない
職業訓練の受講自体が求職活動実績になる
職業訓練は受講自体が「就職に向けた積極的な取り組み」とみなされ、求職活動実績の1回分としてカウントされます。
認定期間中に訓練が1回でもあれば、失業保険の給付条件を満たせるため、応募や相談などの別の活動をおこなう必要はありません。
さらに職業訓練の開始前後には、ハローワークで面談や面接もおこなわれるため、それらも実績として認められます。
職業訓練の受講中は求職活動実績の報告は必要ない
職業訓練に正式に入校した後は、訓練校からハローワークへ出席報告がおこなわれます。
通常の失業認定手続きとは異なり、職業訓練受講中は活動実績の報告が免除されるため、毎月の認定日にハローワークに出向く必要はありません。
職業訓練を受講するメリット
職業訓練は、求職者が再就職に向けたスキルを身につけるための制度です。
職業訓練で得られるメリットは、主に3つあります。
受講料無料で専門知識を学べる
公共職業訓練や求職者支援訓練の受講料は、無料です。
テキスト代や材料費などは自己負担になりますが、専門学校や資格スクールに比べれば圧倒的に低コストでスキルを習得できます。
訓練内容もパソコンスキルや簿記、介護、IT、建築、デザインなど多岐にわたり、就職に直結する実践的なカリキュラムが魅力です。
要件を満たせば給付金を受給できる
一定の条件を満たせば、「職業訓練受講給付金」や「失業給付の延長・継続」が認められ、職業訓練期間中も経済的な支援が受けられます。
本人の収入が月8万円以下などの条件がありますが、該当すれば月額10万円+交通費が支給されます。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日すべて(やむを得ない理由で欠席する場合も8割以上)に出席する
- 世帯の中で同時に受講給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に偽りや不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
- 過去6年以内に職業訓練受講給付金の支給を受けていない
給付金を受けることで、経済的な不安を抑えつつ、安心して学習に集中することができるのが大きな利点です。
失業保険の受給期間を延長できる場合がある
職業訓練を受講している場合、受講期間または受講終了後の一定期間まで給付期間が延長(訓練延長給付)されます。
訓練延長給付を利用できる条件は、以下のとおりです。
- ハローワークで職業訓練の受講指示を受ける
- 所定給付日数の2/3を終了する以前に職業訓練を開始する
- 受講期間が2年以内のコースを受ける
- 過去1年以内に公共職業訓練を受講していない
基本手当の所定給付日数が終了した後も、訓練終了まで基本手当が支給されるため、経済的な不安を軽減できます。
職業訓練を受講するデメリット
職業訓練はメリットの多い制度ですが、すべての人にとって最適な選択とは限りません。
ここでは、職業訓練を受けるうえで注意すべきデメリットを解説します。
希望する職業訓練を受けられないケースがある
職業訓練は地域や時期によって実施される講座が異なるため、希望の訓練に必ず参加できるとは限りません。
特に人気のある講座は応募倍率が高いので、面接や書類審査に通らなければ受講できない可能性もあります。
さらに、通学場所が自宅から遠い、通学時間と家事・育児の両立が難しいなど、物理的な条件で断念せざるを得ないケースもあります。
職業訓練を受けても就職できるとは限らない
職業訓練を受講しても就職が保証されるわけではありません。
新しいスキルを身につけても、就職活動の努力や応募先とのマッチングをしなければ内定にはつながりません。
また年齢や職歴、勤務地の制限などによって、実際に求人が少ない分野もあります。
職業訓練が「やめとけ」と言われる理由や、通うメリット・デメリットを知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
就職まで時間がかかる
職業訓練の多くは修了までに3ヶ月から6ヶ月の期間がかかるため、就職活動が後ろ倒しになります。
そのため早く再就職したい人にとっては、かえって就職までの時間が延びてしまうリスクもあります。
また訓練中は原則として就業が禁止されている講座もあり、収入を得られない期間が長引く点に注意が必要です。
自分の経済状況や就職目標の緊急度に応じて、訓練を受けるか否かを慎重に検討する必要があります。
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職業訓練を申し込む流れ
職業訓練を受講するには、ハローワークを通じて正式な手続きが必要です。
手続きをスムーズに進めるために、申し込みの流れを事前に把握しておきましょう。
1.ハローワークで職業訓練の説明を受ける
職業訓練の申し込みを検討している場合、まずは最寄りのハローワークで訓練内容や受講条件などの説明を受ける必要があります。
事前説明は必須であり、訓練の種類やコース内容、就職支援体制、給付金制度などについて教えてもらえます。
説明を受けることで、希望する職種やスキルに適した訓練コースの紹介も受けられます。
2.受講申込書を提出する
説明を受けたあと、希望する職業訓練が決まったら、ハローワークで「受講申込書」を提出します。
申込書には基本的な個人情報のほか、これまでの職歴や訓練を受けたい理由、就職への意欲などを記入します。
提出後に申込内容に不備がなければ、面接や選考の案内を受け取りましょう。
3.選考試験・面接を受ける
受講希望者が多い場合や一定のスキルが求められる職業訓練コースでは、面接や筆記試験などの選考がおこなわれます。
面接では、これまでの職歴や訓練を受けたい動機、訓練後の就職プランなどについて問われます。
面接官は「訓練を受ける必要性があるか」「本気で就職を目指しているか」といった点を重視して選考するので、あらかじめ自己PRや志望理由を整理しておくと安心です。
4.合格通知をもってハローワークに出向く
面接や試験を経て無事に合格したら、合格通知が郵送または電話で届きます。
合格通知を持参して再びハローワークへ出向き、受講手続きの最終確認をおこないます。
受講開始日や持ち物、給付金の受給に関する最終案内などがおこなわれると同時に、重要書類への記入や署名も必要です。
手続きが完了すれば、いよいよ訓練の受講がスタートします。
職業訓練の受講以外で求職活動実績を作る方法
職業訓練を受講していない期間でも、求職活動実績を作ることは可能です。
特にハローワークや転職エージェントのサービスを活用すれば、比較的短時間で実績を作れるため、失業認定日までに必要な回数を満たす手段として有効です。
ハローワークで職業訓練の相談をする
ハローワークの窓口で職業訓練の相談をするだけでも、求職活動実績として認められます。
「訓練を受講する予定があるかないか」にかかわらず、職業訓練に関する具体的な話をするだけで実績になります。
相談の際には、自分の希望する職種やスキル、将来的な就職目標などについて担当者に伝え、どのような訓練が適しているかのアドバイスを受けます。
ハローワークの職業訓練説明会に参加する
ハローワークが定期的に開催している職業訓練説明会に参加することも、求職活動実績になります。
説明会では、各種訓練の概要や受講条件、就職実績、給付金制度についての詳しい説明を受けられるほか、実際の受講生の体験談が聞けるケースもあります。
参加後には、実績証明として受付票や資料、日付入りの案内用紙などを保管しておくことをおすすめします。
ハローワークや転職サイトから求人に応募する
求職活動実績の中で最もシンプルかつ確実な方法が、「求人への応募」です。
求人の応募方法は複数あり、オンライン上の応募も実績として認められます。
- ハローワークの求人検索端末から応募
- ハローワークのインターネットサービスから応募
- 転職サイトから企業へエントリー
- 転職エージェントを通じて応募
- 企業の採用サイトからエントリー
ただし、実績として認められるためには、実際に応募完了まで進めることが必要です。
求人の閲覧や保存のみではカウントされないので注意が必要です。
求職活動実績を応募のみで作る方法を知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
転職エージェントのオンラインセミナーに参加する
リクルートエージェントなど、各転職エージェントが開催するオンラインセミナーも、求職活動実績の対象となります。
内容は「面接対策」「履歴書の書き方」「業界研究」など、就職支援に直結するものであれば問題ありません。
セミナーの所要時間は1〜2時間程度が一般的で、自宅から参加できるため、忙しい人にもおすすめです。
オンラインセミナーで求職活動実績を作る方法を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
転職エージェントでカウンセリングを受ける
転職エージェントとの初回面談やキャリアカウンセリングも、求職活動実績として認められます。
就職相談や紹介行為が求職活動に該当するため、オンラインまたは電話での面談でも構いません。
- キャリアの棚卸し
- 職務経歴の整理
- 今後の就職プランの確認
- 希望条件に沿った求人の紹介
転職エージェントとの面談は、実質的に「職業相談」と同様の役割を果たします。
特に面談日時や担当者名が記載されたメールやメモを記録として残しておくと、ハローワークで実績の報告をする際にスムーズです。
転職エージェントのカウンセリングを詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
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職業訓練の求職活動によくある質問
職業訓練の求職活動によくある質問と回答をまとめました。
記入内容としては、応募した企業名や職種、ハローワークでの職業相談や求人検索の有無、セミナーや説明会への参加歴などです。
- 2025年6月:ハローワークにて職業相談
- 2025年6月20日:Webデザイン関連職に応募
利用条件は「雇用保険を受給していない人」のため、そこまで厳しくありません。
ただし、受講を希望する講座によっては、面接などの選考を受ける必要があります。
「とりあえず申し込む」という姿勢では選考に通りにくいため、目的意識を持って臨むことが大切です。
主な審査ポイント
- 本人または同一世帯に一定以上の収入がない
- 定期的な通所が可能である
- 過去に不正受給歴がない
特に注意すべきは、収入と資産要件です。たとえ本人が無職であっても、同一世帯の家族に安定した収入がある場合は対象外となるケースがあります。
申請時には源泉徴収票や住民票、給与明細などを提出する必要があり、少しでも虚偽があれば不支給となるため、正確な情報提出が必要です。
しかし、一定の条件を満たせばその月の給付金をもらえる可能性があります。
具体的には、就職した日が月の後半(おおむね15日以降)や、就業開始が月末の場合、その月分の訓練給付金は「支給対象」となることがあります。
ただし給付は日割りではなく、月単位で支給の可否が決まるため、タイミングが非常に重要です。
就職が決まった場合は、速やかにハローワークへ報告し、就職日や雇用形態を伝えましょう。
訓練校によっては、就職率を高めるために頻繁に個別面談や求人紹介をおこなうところもあります。
人によっては「しつこい」と感じることもありますが、逆に言えば熱心なサポートとも言えます。
訓練校の担当者によって温度差があるので、担当者と相性が合わない場合は、相談して対応を調整してもらうのがおすすめです。






























