失業保険を受給するためには、認定日までに求職活動実績を2回以上作る必要があります。
求職活動実績を作る方法は複数ありますが、ハローワークの職業相談は実績作りのハードルが低い方法として人気です。
しかし「1日に2回カウントできる?」「職業紹介とセットにすれば2回になる?」といった疑問もよく聞かれます。
そこで本記事では、職業相談だけで複数回の求職活動実績が作れるのか、職業紹介や認定日当日の扱いなどを詳しく解説します。
求職活動実績は職業相談だけで2回作れる?
ハローワークでの職業相談は、比較的簡単に実施できる求職活動として人気です。しかし、1日で2回分の実績を作れるのかという点には注意が必要です。
ここでは、職業相談に関する求職活動実績の扱い方や職業紹介との違いを解説します。
- 求職活動実績は職業相談のみでも可能
- 職業相談を複数回受けても1日に2回はカウントされない
- 職業相談と職業紹介は2回分になる
- 失業認定日の職業相談は次回分の実績になる
求職活動実績は職業相談のみでも可能
ハローワークでの職業相談は国が認める正式な活動であり、1日1回分の求職活動実績として認められます。
相談した時間や相談内容は問わず、ハローワークの窓口で職業相談を1回おこなうだけで実績になります。
求職活動実績を作る方法は、「求人応募」「面接参加」「セミナー受講」など複数ありますが、職業相談だけで実績を作っても問題はありません。
とくに失業保険の受給要件を満たすには、初回は1回、2回目以降は2回以上の実績が必要なので、職業相談はその条件を手軽にクリアする手段と言えます。
職業相談を複数回受けても1日に2回はカウントされない
同じ日に職業相談を複数回受けても、実績は1回分しかカウントされません。
たとえば午前中に一般相談、午後にキャリアカウンセリングを受けたとしても、まとめて1つの活動とみなされます。
基本的に同日に同じ活動をおこなった場合、1回分の実績とみなされる制度上のルールがあります。
このため、職業相談だけで2回分の実績を作りたい場合は、別の日に職業相談を分けておこなう必要があります。
職業相談と職業紹介は2回分になる
職業相談と職業紹介を同日におこなえば、実績2回分としてカウントされます。
職業相談と職業紹介は異なる活動なので、同じ日におこなっても、それぞれ別の実績として認められます。
たとえば午前にキャリア相談を受けて、午後に職業紹介で求人を紹介された場合、それぞれ1回として認められます。
ただし、ハローワークの裁量や記録の仕方にもよるため、受付時に「職業相談とは別に1回分としてカウントされるか」を確認しておくと安心です。
求職活動実績を1日2回作る方法を知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
失業認定日の職業相談は次回分の実績になる
認定日に受けた職業相談は、当日分ではなく次回分の求職活動実績になります。
求職活動実績は認定日前に完了している必要があるため、認定日当日に慌てて相談しても、次回のカウントにしかなりません。
不安な場合は、前日までに実績をしっかり用意しておくことが賢明です。
求職活動実績の作り方に関して紹介した記事です。ぜひ参考ください。
ハローワークの職業相談でできること【質問例文つき】
ハローワークの職業相談では、求人情報の紹介から面接対策まで、就職活動をトータルにサポートしてもらえます。
具体的に職業相談で何ができるのか、相談時に使える質問例文とともに解説します。
求人の紹介
職業相談では、ハローワークの職員が希望条件に合った求人を紹介してくれます。
希望職種・勤務地・勤務時間・給与などを事前に整理しておくと、より自分に合った求人に出会える確率が高まります。
- 「未経験OKの事務職はありますか?」
- 「○○市で土日休みの仕事を探しています」
- 「今の経歴から転職できる職種を教えてください」
- 「この資格を活かせる仕事はありますか?」
質問する際は、具体的な要望を伝えるのがポイントです。
職業訓練
職業訓練の相談では、無料または低価格でスキルを学べる「公共職業訓練」や「求職者支援訓練」などの制度を紹介してもらえます。
職業訓練はハローワークの支援制度のひとつであり、就職に役立つ職業訓練の情報や申込方法を教えてもらえます。
特に未経験からのキャリアチェンジや、ブランクのある人が再就職を目指す際に有効です。
- 「未経験でも受けられる職業訓練はありますか?」
- 「PCスキルを身につけたいのですが、適した訓練はありますか?」
- 「IT系の職業訓練について教えてください」
- 「給付金をもらうにはどんな条件が必要ですか?」
自分に合うコースや訓練校の選び方、給付金の対象になるかどうかまで丁寧に教えてくれます。
書類の添削
履歴書や職務経歴書の書き方に不安がある場合も、職業相談で添削してもらえます。
特に初めての転職やブランク後の就職活動では、基本的なフォーマットや自己PRの書き方が曖昧になりがちです。
職業相談では応募書類の書き方の基本から教えてもらえるので、書類の作成に不安がある人も安心です。
- 「自己PRがうまく書けないので見てもらえますか?」
- 「ブランク期間の説明はどう書けばいいですか?」
- 「アルバイト経験しかない場合、職務経歴書は必要ですか?」
- 「この履歴書で面接に進めると思いますか?」
実際の書類を持参して添削してもらえるだけでなく、自分の強みや自己PRの書き方を一緒に考えてもらえます。
面接対策
面接に関するアドバイスや模擬面接の実施も、職業相談の対象です。
面接の受け答えに自信がない人や、過去に面接で落ちてしまった経験がある人にとって、第三者からのフィードバックは大変貴重です。
- 「面接でよく聞かれる質問と答え方を教えてもらえますか?」
- 「面接で緊張してしまうのですが対策はありますか?」
- 「退職理由をどう伝えれば印象が悪くならないですか?」
- 「自己紹介の話し方に自信がないのですが、ポイントを教えてください」
よくある質問や回答の例を教えてもらえるだけでなく、面接マナーや服装のチェックを受けられる場合もあります。
失業保険
失業保険(雇用保険)の制度や受給条件についても、職業相談の範囲内で詳しく教えてもらえます。
ハローワークは雇用保険の窓口機関として機能しており、失業保険の受給条件や申請方法について相談できます。
- 「今の就職活動状況で再就職手当はもらえますか?」
- 「初回の認定日はどのように決まるのですか?」
- 「求職活動実績をどう記録すれば良いか、具体的に教えてもらえますか?」
- 「延長給付を受けられる条件を教えてください。」
特に給付日数や給付金額、再就職手当の条件などは個々の状況によって異なるため、事前相談がおすすめです。
就職・転職全般の悩み
「自分にどんな仕事が向いているかわからない」「年齢的に転職が難しいのでは?」といった漠然とした悩みでも、職業相談で丁寧に聞いてもらえます。
ハローワークにはキャリアコンサルタントや相談員が常駐しているところがあり、キャリアや業界の悩みから方向性の相談まで幅広く対応しています。
カウンセラーは非正規雇用やブランクありの相談にも慣れており、親身にアドバイスしてくれます。
- 「この年齢から未経験職に挑戦できますか?」
- 「家庭と両立できる仕事を探したいのですが」
- 「未経験業界に挑戦したいのですが、どんな資格が必要ですか?」
- 「前職を短期間で辞めたのですが、再就職に影響しますか?」
相談した結果、就職・転職活動の方向性がクリアになり、次のステップへの自信にもつながります。
ハローワークで求職活動の実績作りをする方法は、下記の記事で詳しく解説しています。
ハローワークの職業相談を利用する流れ
ハローワークの職業相談は、求職活動実績を作る手段として有効なだけでなく、転職や就職に関するあらゆる悩みを相談できる貴重な機会です。
しかし、初めて利用する人にとっては、利用の流れがわからず不安に感じることがあります。
職業相談をスムーズに受けるために、一連の手順をわかりやすく解説します。
1.ハローワークカードを作成する
職業相談を利用するには、まずハローワークカード(求職申込書)を作成する必要があります。
ハローワークカードは、ハローワークの利用登録のようなもので、住所・氏名・学歴・職歴・希望職種などを記入します。
紙での記入も可能ですが、ハローワークインターネットサービスから事前入力しておくと、現地での手続きがスムーズです。
2.窓口で職業相談を申し込む
ハローワークカードの作成が完了したら、窓口で職業相談を申し込みます。
職業相談は対面のため、窓口手続きが必須です。ハローワークカードを提示して窓口で相談を予約、またはその場で申し込みます。
受付では「職業相談を希望します」と伝えれば大丈夫です。
3.相談窓口で担当者に相談する
職業相談の順番が来たら、相談ブースで担当者と面談します。
職業相談は求人の紹介だけでなく、応募書類の添削や職業訓練の案内なども含まれます。
相談内容が具体的に決まっていなくても問題はありません。しかし、相談希望内容がある程度決まっていたほうが、より的確なアドバイスが得られます。
たとえば「未経験でも応募できる事務職を探しています」など明確に伝えることが大切です。
4.「雇用保険受給資格者証」にハンコを押してもらう
職業相談を受けたあとは、雇用保険受給資格者証に証明印(ハンコ)を押してもらいます。
ハンコが求職活動を実施した証拠となり、失業認定日に提出することで失業手当の受給につながります。
ただし、担当者が押し忘れる場合もあるので、相談後に「求職活動実績として記録されますか?」と確認するのが安心です。
職業相談を短時間で効率よく終わらせる方法
ハローワークの職業相談は、求職活動実績を作るうえで非常に有効ですが、混雑していたり時間が長引いてしまったりすることもあります。
職業相談をスムーズに相談を終えるために、押さえておきたい6つのポイントを紹介します。
事前に相談内容を考えておく
職業相談の時間は限られているため、何を相談したいのかを明確にしておくことが大切です。
漠然とした相談内容では、担当者とのやり取りが長引いてしまい、結果的に時間を無駄にしてしまいます。
たとえば、「事務職で未経験可の求人を紹介してほしい」「履歴書の志望動機を見てほしい」など、具体的な相談を1~2個に絞っておくと効率的です。
ハローワークの職業相談をすぐ終わらせる方法と質問例を知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
自分の希望条件を整理しておく
職業相談で求人紹介やアドバイスを受けるには、自分の希望条件を明確にしておく必要があります。
- 職種
- 勤務地
- 勤務時間
- 給与
- 福利厚生
最低限譲れない条件と妥協できる条件を整理しておけば、相談がより具体的になり、求人紹介もスムーズになります。
事前に紙やスマホのメモなどにまとめておくと、相談中にもすぐに確認できて便利です。
ハローワークのマイページで求人を確認しておく
ハローワークインターネットサービスの「マイページ」に登録すれば、自宅でも求人検索が可能です。
相談前に気になる求人をピックアップしておけば、当日は「この求人に応募したい」と具体的な相談ができます。
事前に求人を選んでおけば、相談時にすぐ確認・応募ができるので、紹介もスムーズに進み、窓口の時間を有効活用できます。
また求人票を事前に読み込んでおくと、業務内容や応募条件についても効率よく質問できます。
業務内容に関する質問は避ける
求人票に記載されている業務内容は、ハローワークの相談員が詳しく把握していないこともあります。
「この職場でどんな一日を過ごしますか?」「職場の雰囲気はどうですか?」といった質問は、担当者もすぐに回答できません。
求人票に書かれていない情報は企業に問い合わせる場合があるので、時間が長引く要因になります。
混雑する時間帯を避ける
ハローワークの混雑状況は地域によって異なりますが、空いている時間に行くことで待ち時間が減り、相談も短時間で終わります。
| 空いている時間帯 | 混雑する時間帯 |
|---|---|
| ・開庁直後の午前8時半~9時台 ・夕方間際の時間帯 |
・午前10時~11時頃 ・午後2時~4時頃 |
昼前後や週初めは混雑しやすいため、時間帯の調整が有効です。
失業認定日に職業相談をする
失業認定日に合わせて職業相談をおこなうと、1回の来所で「認定手続き」と「求職活動実績の取得」を同時に済ませられます。
特に仕事や家庭の都合で何度もハローワークに通うのが難しい人には、非常に効率的な方法です。
ただし、職業相談の待ち時間が長くなる傾向があるため、開庁直後の空いている時間帯を狙うのがおすすめです。
認定日には「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を忘れずに持参し、スムーズな対応ができるよう準備しましょう。
職業相談以外で求職活動実績を簡単に作る裏ワザ
ハローワークの職業相談に行く時間が取れない人でも、自宅にいながら求職活動実績を作る方法があります。
ここでは、スマホやパソコンを活用して簡単に実績を作る3つの裏ワザを紹介します。
インターネットを使った求人応募をする
ハローワークインターネットサービスや転職サイトを通じて求人に応募するだけで、1回分の実績になります。
応募先企業の名称、応募日、応募方法(メール・サイト応募など)を記録しておけば、ハローワークでの申告もスムーズです。
自宅でできるため移動の手間がなく、スキマ時間に応募して実績を確保できるのが大きなメリットです。
求職活動実績を簡単に作る裏ワザを知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
就職関連のオンラインセミナーに参加する
オンラインセミナーも、求職活動実績として認められる代表的な手段のひとつです。
対象となるのは、ハローワークや自治体、民間企業が主催する「就職に関連した内容」のセミナーで、就職支援や履歴書の書き方、面接対策などがテーマになっているものです。
オンラインセミナーは、ZoomやGoogle Meetなどを使用するウェビナー形式が多く、自宅からでも参加できます。
セミナーに参加した証拠(受付完了メールや参加証明書など)を保存しておくと、認定日に実績として申告できます。
オンラインセミナーで求職活動実績を作る方法を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
転職エージェントでカウンセリングを受ける
転職エージェントとの初回面談やキャリアカウンセリングも、求職活動実績として認められます。
面談方法は、電話・オンライン・対面いずれの形式でも問題ありません。
エージェントとの面談では、希望条件のヒアリングや求人の紹介、応募書類の添削アドバイスなどがおこなわれ、「就職に向けた具体的行動」として評価されます。
転職エージェントの活用方法を知りたい人は、以下の記事もご覧ください。
リクルートエージェントは業界最大手の転職エージェントであり、丁寧なサポートが期待できます。無料で利用できるので、まずは登録してみるのもおすすめです。
職業相談の求職活動実績によくある質問
職業相談の求職活動実績によくある質問と回答をまとめました。
ただし、求職活動実績として認められるのは1回の来所ごとに1回分であり、1日に複数回相談しても1回としか扱われません。
たとえば、午前と午後に別の窓口で相談したとしても、実績としては1回のみです。
そのため、職業相談だけで求職活動実績を2回分作りたい場合は、認定期間内に最低2回の別日の職業相談が必要になります。
失業保険を継続して受給するためには、2回目以降の認定期間内に2回以上の求職活動実績を記録する必要があります。
2回の実績があれば十分ですが、急な予定変更などの場合に備えて3回の実績を作っておくと安心です。
求職活動実績の回数を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
ハローワークでは、応募先企業への問い合わせや面談履歴の提出を求めることがあり、実態確認をおこなうケースもあります。
特に複数回同じ企業に応募したり、明らかに実態がない活動を繰り返したりすると、不審に思われて職業相談記録や応募先への確認で嘘が判明するケースがあります。
虚偽申告が判明した場合、不正受給として失業手当の返還などのペナルティが課される可能性もあるので、誠実に実績を作ることが大切です。
求職活動のフリをするリスクやバレる可能性を詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。




































