転職を検討している人は「転職の軸を明確に」というアドバイスを一度は見聞きされると思います。
実際に面接の場で面接官から転職軸について聞かれることもあるでしょう。この記事では分かるようで分からない、転職の軸とは何なのか?どうやったらつくれるのか?をキャリアのプロが詳しく解説します。
転職活動中の人はぜひ参考にしてください。
そもそも転職軸とは?
そもそも「転職軸」とは、転職を進める上で核となる考え方や価値観を指します。具体的にいうと、以下のような質問に対して自分なりの回答が「軸」といえるでしょう。
- 将来どんなキャリアを歩んでいきたいのか
- どんな働き方をしたいのか
- 転職先企業でどんなことを実現したいのか
- どんな企業、職業で働きたいのか
自分自身の将来像やなりたい姿に対する「軸」もありますし、転職先の企業や職業に対する仕事内容や、やりがいに対しての「軸」もあります。
どちらを軸とするのかは、人それぞれです。転職の際に転職軸を明確にし腹落ちして、理解している状態にしておくことが重要です。
一般的に軸を全く持たない場合、転職活動の方向はバラバラで一貫性のない状態になります。
転職先候補として全く毛色の異なる業界を選択肢に入れていたり、応募する企業や職種・条件に論理性や整合性がなかったりと、転職活動を通して、成し遂げたいことが定まっていない状態では転職活動が思うようにすすみません。
せっかくの転職活動でいろいろな業界を見てみたい気持ちがあるのかもしれません。
しかし、軸が無ければ面接で自分のことをうまく話せなかったり、本当に自分にあう企業を見つけられなかったりと転職活動はなかなかスムーズに進みません。また、入社後にやっぱり違う、再度転職したいと転職前と同じ悩みを抱えることになります。
軸がしっかりしていれば目指すべき方向にまっすぐ進めるので、効率よく転職活動が進められるでしょう。
転職軸を明確にする3つのメリット
転職軸をつくる必要性はどんなところにあるのでしょうか?
代表的なメリットを3つ紹介します。
- 企業選びの判断材料になる
- 面接の受け答えで困らない
- 企業が面接のときに入社後の働く姿を想像できる
求職者にとって最初の難関になる企業選びは、転職軸が明確であれば比較的容易になると言えます。
多くの求人を見ていると悩んだり迷うこともありますが、自分の転職軸に従って求人を取捨選択出来れば必然的に「ここに入社したい!」という企業が見つかります。
また、実際に選考が進み、面接を受ける際も軸があれば回答に困ることは少なくなります。
「自分が将来何を成し遂げたいのか」「なぜこの企業を選んだのか」「どんな活躍ができるか」など定番の質問にも詰まることなく答えることが可能です。
転職軸のつくり方
ここからは転職軸のつくり方を解説します。転職軸のつくり方は以下の3つの順序です。
- なぜ転職するのか?を明確にする
- 転職する理由に見合った企業を選ぶ
- 優先度をつける
上から順を追って作成していくことが重要です。
ここからは、上記の順序について詳しく解説していきます。転職活動に悩まれている人、選考が思うように進まないと悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
1.なぜ転職するのか?を明確にする
まずは、自分自身に対する軸を明確にします。
具体的には、以下の3つの問いをじっくり考えてみましょう。
- なんで転職しようと思ったのか(現職での不満な点、なぜ転職しなければ解決しないのか)
- どんなことを社会もしくは会社で実現したいのか
- 1年後、5年後、10年後の将来にどんな風になっていたいか
何となくイメージ出来ていても、いざ言語化しようとするとなかなか難しいです。じっくりと時間をとって書き出してみることをオススメします。
出てきた答えに対して、「なぜ?」を3回ほど自問自答をして、さらに深堀していきましょう。そうすることで、より深く自分自身について理解を深めることができます。面倒な作業ですし、じっくり自分と向き合うのはつらい作業です。
しかし、転職成功への最短ルートで、転職活動を進めるために必要作業になるので、頑張って作業に臨みましょう。
なお、現在の職に対する不満点を元に転職をする場合も、改めて転職の目的を明確にしておくことが重要です。
面接時に、ただ現職に不満があって転職をしたいといった転職理由では、採用は難しく、「転職をした際に何がしたいのか」「どうなりないのか」が明確のほうが企業も採用しやすくなります。
2.転職する理由に見合った企業を選ぶ
転職の目的が明確になったら、より具体的に希望条件を洗い出してみましょう。
ここだけは譲れないという条件や、こだわり条件をいくつかピックアップします。例えば、以下のようなテーマで考えます。
- 仕事内容に関すること(業界業種、経験・スキルが活かせる、○○な経験ができるなど)
- 働き方に関すること(就業時間、休日、雇用形態、勤務地、テレワークの有無など)
- 収入に関すること(年収、各種手当、インセンティブ制度、ボーナスなど)
- 会社組織に関すること(会社規模、社風、海外拠点の有無、企業理念など)
- 福利厚生に関すること(健康保険、退職金・年金制度の有無、育児支援や介護支援など)
- 人材育成に関すること(ジョブローテーション、評価制度、研修制度、人事制度など)
整理は後回しにして、まずは多くの条件を書き出してみるのがオススメです。
また、いくつか転職先企業を探している中で、ここは外せないという条件が見つかることもあります。適宜見直しをすることも重要です。
なお、転職の軸を明確にしようとすると、ついつい具体的な希望条件ばかりを考えてしまう人が多いです。
自分自身の核となる「転職目的」や「キャリアビジョン」があってこその希望条件なので、考える順番が逆にならないように注意しましょう。
3.優先度をつける
前項の2で挙げた希望条件を全て満たすような企業を見つけることは、正直言って困難です。
そのため、条件を見比べて自分が重視したいのは何かを考えられるように優先順位を付けてみましょう。
どうしても外せない条件、合ったほうがいい条件、どちらでも良い条件が明確になれば、企業探しはグッと楽になります。
例えば、連日の深夜勤務や休日出社がつらく転職を検討している人は、収入や人材育成の項目は後回しにしても、「定時退社」や「フレックスタイム制の有無」など働きやすさや社内制度の充実具合を重視するのが良いでしょう。
また、新しい分野へのチャレンジを目的に転職をする人は、業種や職種、スキルが身につく、活かせるかどうかなどが重視ポイントとなり、残業や出張が多いなどのいわゆるハードワークであっても、前向きに考えられるでしょう。
早期離職を防ぐためにも転職軸は必要
転職したことを後悔する人の多くは、以下のような点を原因にあげています。
- 職場の雰囲気が合わない
- 仕事内容のミスマッチ
- 思っていた待遇と違う
- スキルや経験が活かせず活躍できない、居場所がない
どれも入社前に転職先企業と十分にすり合わせができていれば回避できる問題です。
転職軸が明確であれば、転職先企業を希望条件で絞り込んだり、面接時に確認したりと事前確認ができます。
また希望条件を全て満たす企業が、なかなか見つからなくても、優先順位が明確であれば自分の中で妥協点を探り、納得した上で入社することが可能です。
入社前に抱いていたイメージと入社後の現実にギャップが小さくなるほど、入社後に不安を覚えることなく新しい生活をスタートできると言えます。転職軸を定めておくと、入社後にも安心して働くことができます。
転職軸を見つけるためには?
転職軸を見つけるには、まずは自分自身の今後のありたい姿、そして現状の仕事の課題を洗い出すことが大切です。
そこでギャップを見つけることで、今後どのように転職を進めるべきかアクションが明確になります。
さらに転職先を選ぶにあたり、重視するポイントに優先順位をつければ迷うことなく転職活動を進められるでしょう。
ここでは、自己分析ワークの質問例をいくつかご紹介します。
- 今後、あなたはどんな仕事をしていたいか?
- その仕事をやりたいのはなぜですか?
- 今はどんな仕事内容をしていますか?
- 今転職したいと思っているのはなぜですか?
- ありたい姿を実現するために足りないものはなんですか?(スキルや経験など)
- 足りないものを埋めるために、どんなことが必要ですか?
- 転職先を選ぶ条件はなんですか?
これらは一例ですが、未来、現在、過去を振り返り、大事にしたいこと、今できること、これから必要なことを一つずつ明らかにしていきましょう。
もし1人では難しい場合は、友人に手伝ってもらいましょう。
ただ自己分析をするのではなく、今のモヤモヤをなくしたいのであれば有料のコーチングサービスを検討しましょう。徹底的な自己分析だけではなく、今後のキャリアプランについても的確にアドバイスをもらえるでしょう。
末永 雄大
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