失業保険の手続きに関して、「めんどくさそう」「やり方がわからない」「難しいんじゃ…」と考えていませんか?
実際は、認定日や求職活動のルールを守れば受給できるので、慣れると効率的に進められます。手続きをしないと「損」です。
本記事では、失業保険の「必要書類」「手続きの流れ」「受給期間・金額」「注意点」について解説します。
失業保険とは?制度の仕組みと対象者
失業保険とは、会社を辞めて収入がなくなった人が、次の仕事を探す間に受け取れる給付金です。正式には「雇用保険の基本手当」と呼ばれ、雇用保険に加入していた人が対象になります。
退職理由によって受給できる時期や期間が変わり、会社都合退職なら7日間の待期期間を終えるとすぐに支給され、自己都合退職では7日間の待機期間と1ヶ月の給付制限期間があります。
基本的には、過去2年で12ヶ月以上雇用保険に入っていれば資格があるので、まずはハローワークに相談してみると安心です。
- 失業保険と雇用保険の関係
- 自己都合退職と会社都合退職の違い
- 受給資格をうけるための条件
失業保険と雇用保険の関係
失業保険は、雇用保険に加入していた人だけが受け取れる制度です。会社と本人が負担していた保険料のおかげで、退職後に条件を満たせば給付されます。
雇用保険は働く人の生活を守る国の制度です。
給与から天引きされる保険料と会社の負担分が財源となり、退職後はこの仕組みを通して失業手当が支払われます。

子どもが生まれたときや家族の介護が必要になったときにも、収入を部分的に保障してもらえる制度です。
この制度により、ライフイベントに合わせて生活の安定を図りながら働き続けることが可能になります。
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職は、本人の都合で会社を辞める場合を指します。一方、会社都合退職は解雇や倒産など会社の事情で辞める場合です。
この違いによって、失業保険の受給開始時期や期間は大きく変わります。
自己都合退職の場合は7日間の待機期間に加え、1ヶ月の給付制限期間があります。会社都合退職では7日間の待機期間後すぐに受給が始まり、受給できる期間も長めに設定されるのが原則です。

自己都合退職の場合は給付制限期間があるため、受給開始までの期間を見越して貯蓄や求職活動を計画することが大切です。
一方、会社都合退職なら早めに給付を受けられるため、次の仕事にスムーズに移行しやすくなります。
状況に応じてハローワークや転職エージェントを活用すると安心です。
自己都合退職した場合の失業保険のもらい方については下記の記事で詳しく解説しています。
受給資格をうけるための条件
失業保険を受け取るには、雇用保険への一定期間の加入と、離職後すぐに求職活動をおこなう意思があることが条件です。
被保険者期間によって受給資格が決まるため、まず自分の加入期間を確認すると安心です。
原則として、自己都合退職の場合は過去2年間に12ヶ月以上、会社都合退職の場合は過去1年間に6ヶ月以上の被保険者期間が必要になります。この条件により、制度は安定的に給付を提供できる仕組みになっています。

求職活動の記録は認定日に申告書で提出する必要があります。
また、過去の勤務期間や被保険者期間を正確に把握しておくと、受給手続きがスムーズになり、給付の遅れやトラブルを防ぐことができます。
失業保険の申請前に準備すべき必要書類
失業保険を申請する前には、必要書類をそろえておくことが大切です。
主な書類は離職票や本人確認書類、銀行口座・キャッシュカードです。場合によっては給料明細などが求められることもあります。
ここでは、申請に必要な3つの書類について詳しく説明します。
1.離職票や本人確認書類
失業保険の申請には、離職票と本人確認書類を準備しましょう。顔写真付きの身分証を用意すると、手続きがスムーズに進み、安心して申請できます。
離職票は退職日や退職理由を確認するための書類です。
本人確認にはマイナンバーカードや運転免許証など、顔写真付きの書類を提出すると、ハローワークでの確認が確実になり、手続きのミスや不安を減らせます。
2.銀行口座・キャッシュカード
失業保険を受け取るには、本人名義の銀行口座とキャッシュカードを事前に用意しましょう。振込先として登録することで、受給がスムーズに進みます。
受給手当は銀行振込で支払われるため、口座とキャッシュカードが必須です。本人名義でないと手続きが進まず、提出時に不備があると受給開始が遅れることがあります。
準備段階で確認しておくと安心です。
3.場合によっては給与明細
失業保険を申請する際は、会社から発行される給与明細などの書類が必要になる場合があります。
給与明細は退職前の賃金を確認するために求められます。
ハローワークでの申請手続きをスムーズに進めるためには、必要書類をあらかじめそろえておくことが重要です。
ハローワークでの手続きの流れ
失業保険を受け取るために、ハローワークで手続きをしましょう。
必要書類を準備した後は、「説明会への参加や失業保険の申請、認定日に求職活動の状況を報告する」という流れです。
ステップ1:必要書類を持ってハローワークに申請
失業保険は、退職後できるだけ早く申請することが大切です。期限をすぎると受給開始が遅れることがあるため、余裕をもって手続きを進めると安心です。
申請は原則として退職後すぐにおこなうことができ、通常は退職日から1ヶ月以内に手続きをしましょう。早めに申請すれば、待機期間や給付制限のタイミングを把握でき、受給が遅れる不安を減らせます。
失業保険を申請したあと、まず7日間の待機期間があります。自己都合退職の場合は、この後さらに1ヶ月の給付制限期間があり、この期間を過ぎてから給付がはじまるのです。

ただし、この間も求職活動は可能で、早めに動き出すことでその後の受給や就職活動がスムーズになります。
転職エージェントであれば登録から早くて1日〜2日程度で転職先を提案してくれるので、スピード感を持って求職活動ができます。
ステップ2:雇用保険受給者初回説明会に参加
7日間が経過して受給資格が認定されたら、雇用保険受給者初回説明会に参加しましょう。
失業保険の受給条件や手続きの方法が説明されるもので、以下の書類が交付されるため参加は必須です。
●雇用保険受給資格者証
●失業認定申告書
参考:ハローワーク公式サイト

ステップ3:認定日までに求職活動を報告
申請後は、指定された認定日に求職活動の状況を報告する必要があります。この報告によって、失業保険の給付が開始され、受給を継続できます。
認定日は、受給者が継続して仕事を探しているかを確認する日です。報告を適切におこなうことで、次回の給付もスムーズに受けられ、制度を正しく活用できます。
初回説明会から最初の失業認定日までは1回以上の求職活動が必要で、2回目以降の認定日には2回以上の求職活動が必要です。
求職活動として認められるのは、以下の内容です。
●ハローワークでの企業紹介
●求人応募
●再就職のための資格取得
●再就職のためのセミナー参加
参考:ハローワーク公式サイト

ハローワークへの相談や求人応募はもちろんですが、転職エージェントを利用して面談や求人紹介を受けたり、オンラインセミナーへの参加も活動実績になります。
たとえばリクルートエージェントなら、キャリアアドバイザーとの面談自体が実績としてカウントされるため、効率的に活動を進められますよ。
求職活動実績を作るための裏ワザを以下で公開しています。ぜひご覧ください。
ステップ4:失業認定を受ける
最後のステップとして、失業認定日にハローワークに訪問して「失業状態が続いていること」が確認されると支給が決定されます。
失業保険の支給開始日は地域によって異なるので、正式なスケジュールに関しては窓口に確認しましょう。通常であれば、認定を受けて5日以内に登録口座に振り込まれます。

スケジュールに関しては窓口で説明があるので、必ずスケジュール管理をしておきましょう。
ステップ5:失業保険を受給
認定日での求職活動報告が完了すると、失業保険を受け取ることができます。登録した銀行口座へ振り込まれる方法が一般的です。
受給中も求職活動を継続し、認定日に報告することが大切です。
制度変更や期限切れがあった場合は、早めにハローワークに相談することで安心して手続きを進められます。

認定日や求職活動のルールを守ることで安心して給付を受けられるので、最初は少し手間に感じても、慣れれば効率的に進められますよ。
認定日ごとの求職活動の報告方法
失業保険を受け取るには、ハローワークで決められた認定日に、求職活動の状況をきちんと報告する必要があります。報告を正しくおこなうことで、給付がスムーズに受けられます。
認定日は、受給者が本当に仕事を探しているかを確認するための日です。
窓口で求職活動の内容を提出することで次回の失業手当の支給が確定し、制度を正しく活用できます。

申告書の記載や窓口での手続きも、何度か経験するとスムーズにおこなえます。
困ったときは、ハローワークのスタッフに気軽に相談してみると安心ですよ。
自己都合・会社都合退職別の受給期間
自己都合退職と会社都合退職では、以下の通り受給期間が大きく異なるため注意が必要です。
まず、自己都合退職での給付期間は以下の通りです。
被保険者期間 | 給付期間 |
---|---|
10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
会社都合退職の場合は、雇用保険に加入していた期間や年齢によって、以下のように給付期間が大きく異なります。
被保険者期間が1年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 90日 |
30歳以上35歳未満 | 90日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 |
被保険者期間が1年以上5年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 90日 |
30歳以上35歳未満 | 120日 |
35歳以上45歳未満 | 150日 |
45歳以上60歳未満 | 180日 |
60歳以上65歳未満 | 150日 |
被保険者期間が5年以上10年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 120日 |
30歳以上45歳未満 | 180日 |
45歳以上60歳未満 | 240日 |
60歳以上65歳未満 | 180日 |
被保険者期間が10年以上20年未満の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | 180日 |
30歳以上35歳未満 | 210日 |
35歳以上45歳未満 | 240日 |
45歳以上60歳未満 | 270日 |
60歳以上65歳未満 | 210日 |
被保険者期間が20年以上の場合 | |
---|---|
年齢 | 給付期間 |
30歳未満 | なし |
30歳以上35歳未満 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 240日 |
また、退職理由だけでなく就業難易度によっても受給期間が変わるため、注意が必要です。
以下に該当する人は、通常よりも長く失業保険を受け取ることができます。
- 身体障害や知的障害がある人
- 保護観察下に置かれている人
- 社会的情勢により就業が困難な人
就業困難者と認定されれば、45歳未満の場合は失業保険加入期間1年以内で150日、1年以上で300日まで給付延長が可能です。
また、45歳以上かつ失業保険加入期間が1年以上であれば、給付が360日まで延長されます。
給付額の計算方法
失業保険(基本手当日額)は、原則として、離職日直前6ヶ月に支給された賞与(賃金を省く)の総額 ÷ 180 で算出される「賃金日額」の50~80%です。
(例) 離職日直前6ヶ月間の賃金合計が200万円の場合
・賃金日額:200万円 ÷ 180 = 約11,111円
・基本手当日額:11,111円 × 50~80% = 約5,555円〜8,888円
ただし、基本手当日額には年齢ごとに上限額が定められており、算出した金額が以下の金額を超える場合は上限額で支給されます。
年齢 | 賃金日額の上限金額 |
---|---|
30歳未満 | 7,255円 |
30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
細かい給付率も含めた計算シミュレーションに関しては、ハローワークの窓口で自身の受取金額を確認してもらうのがおすすめです。
失業保険の受給における注意点
失業保険を受給する際には、以下の点に注意しておきましょう。
場合によっては失業保険を受け取れなくなる場合もあるので、必ずチェックしてください。
銀行口座・キャッシュカードが必要
失業保険は、本人名義の銀行口座に振り込まれます。キャッシュカードがあれば、ATMから手軽に引き出せるので安心です。
振込先はハローワークで登録した口座に限られ、申請のときには通帳やキャッシュカードの提示が必要です。本人名義でないと手続きが進まないため、事前に確認しておくと安心できます。

また、ネットバンキングやアプリで残高確認できる口座を使うと、給付額の管理もしやすくなります。
求職活動の継続
失業保険を受け取っている間は、定期的に求職活動を続けなければなりません。活動を怠ると給付が止まる場合があるため、計画的に取り組む必要があります。
ハローワークでは認定日に求職活動の報告をおこなうことで、受給資格が確認されます。
活動をきちんと続けていることを示すと、スムーズに給付を受け続けられ、再就職のチャンスも広がるのです。

そんなときはリクルートエージェントのオンラインセミナーを活用すると安心です。
自宅から簡単に参加でき、時間もほとんどかかりません。キャリアアドバイザーが継続的にサポートしてくれるので、途中で挫折せずに活動を続けやすくなり、結果的にスムーズな再就職につながります。
以下記事では、リクルートエージェントとdodaのセミナーを求職活動実績にする手順と注意点を詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
制度変更や申請期限切れ
失業保険を受け取るためには、制度変更や申請期限に気をつけることが大切です。
制度は法律の改正や運用の見直しによって内容が変わることがあり、対応を誤ると給付が遅れてしまう可能性があります。
また、申請や認定には決められた期限があるため、遅れてしまうと本来受けられる給付を逃してしまうこともあります。
ハローワークの案内や公式サイトを活用し、早めに手続きを進めるようにしましょう。
転職エージェントでスムーズに実績を作って失業保険を受給しよう
失業保険を受け取るには、定期的な求職活動の実績が欠かせません。
そこでおすすめなのが転職エージェントの活用です。
求人紹介や面接日程の調整だけでなく、キャリアアドバイザーとの面談そのものが「求職活動の実績」としてカウントされます。そのため、効率よく活動を進められ、失業認定日ごとの求職活動実績の報告にも困らないのが大きな強みです。
また、オンラインセミナーへの参加も求職活動実績として認められます。オンラインで完結するため、忙しい人にとって、効率的に求職活動実績を作ることができる裏ワザです。
さらに、転職エージェントでは非公開求人や自分に合った案件を紹介してもらえるので、失業保険を受けながらの就職活動が現実的になります。
実績作りと再就職の準備を同時に進められるのは、ハローワークだけでは得られない大きなメリットといえます。
失業保険の手続きに関するよくある質問
ここでは、失業保険の手続きに関するよくある質問にお答えします。
失業保険をもらうために必要な書類はなんですか?
基本は「離職票」「本人確認書類」「銀行口座」「キャッシュカード」です。場合によっては、給与明細などを追加で求められることもあります。
失業保険をもらうまでの一連の流れを知りたいです。
退職したら、まず必要書類を持ってハローワークで申請します。その後、雇用保険受給者初回説明会に参加して制度の説明を受け、認定日に求職活動の報告をおこなうことで給付が始まります。
失業保険の申請は、退職してからいつまでにすればいいですか?
退職日の翌日から1年以内に申請すれば受け取れます。ただし、遅れると給付期間が短くなることもあるので、なるべく早めに手続きを進めると安心です。