仕事に疲れた結果、「もう辞めたい」と感じているとき、その気持ちは甘えでも逃げでもありません。
厚生労働省の調査によると、仕事や職業生活において強いストレスを感じている労働者の割合は68.3%にのぼります。
つまり、働く人の約3人に2人が、仕事や職業生活で強いストレスを感じているということです。
この記事では、仕事に疲れたのでもう辞めたいと悩んでいる人に向けて、限界サインの見分け方から、有給・休職・退職の選び方、休職中のお金の不安を減らす方法まで、サポート歴10年以上の転職のプロ目線で順番に解説します。
この記事を読めば、今の状態が「少し休めば戻れる疲れ」なのか、「出勤を続けるより休養・受診を優先すべき状態」なのかを整理できます。退職や転職を急ぐ前に、まず自分を守るために取れる選択肢を確認していきましょう。
仕事が疲れて辞めたいと感じたら、まず転職より「休むこと」を優先しよう
「仕事を辞めたい」と感じる理由はさまざまですが、慢性的な疲れや心身の消耗が原因の場合、まず転職先を探し始めることはおすすめできません。
以下の表のように今の状態によって、優先したい行動は変わってきます。
| 状況 | 優先したい行動 |
|---|---|
| 体力的に限界を感じている | 有給休暇を使って休む |
| 朝起きるのがつらい状態が続いている | 産業医や医療機関に相談する |
| 仕事のことを考えるだけで苦しい | 休職制度の利用を検討する |
| 辞めたい理由が整理できない | 休んだうえで状況を振り返る |
疲れ切った状態での転職活動は冷静な判断が難しく、職場環境や条件を見誤るリスクが高くなります。入社後に「前の会社と変わらない」「むしろ悪化した」と後悔するケースは少なくありません。
そもそも、疲れ切った状態では思考力や判断力が低下している場合が多く見られます。「この会社が合わないのか」「この仕事自体が向いていないのか」「それとも一時的な疲れなのか」を正確に見極めるためにも、まず心身を回復させることが先決です。
また、疲弊した状態で転職活動を続けると、面接でも本来の自分を表現しにくくなります。「早く決めなければ」という焦りから条件を妥協しやすくなり、入社後のミスマッチにつながるリスクも高まりがちです。
体と心が回復してから改めて状況を整理すると、「転職すべきか」「職場環境を変えるだけでいいのか」が冷静に判断できるようになります。
それは限界?仕事に疲れたときの危険なサインの捉え方
仕事の疲れには、休めば回復する一時的なものと、放置すると心身に深刻なダメージを与えるものがあります。疲れている本人ほど「まだ大丈夫」と感じやすく、自分の状態を正確に把握しにくいのが実情です。
この章では、今の疲れがどちらに当たるのかを確認するための判断軸を整理します。「なんとなくしんどい」という感覚を、客観的に捉えるきっかけにしてみてください。
- 【精神的・身体的チェックリスト】一時的な疲労か、危険なサインか
- 【判断の基準】出勤を続けるべきか休養を優先すべきか
- 【専門家に診てもらう意味】判断が鈍っているときこそ医療機関へ
【精神的・身体的チェックリスト】一時的な疲労か、危険なサインか
今の疲れが一時的なものか、限界のサインかを見分けるには、精神的・身体的の両面から自分の状態を確認することが大切です。以下のチェック項目を参考に、当てはまるものがないか確認してみてください。
- 仕事のことを考えると気分が悪くなる
- 以前は楽しめていたことに興味が持てなくなった
- 理由もなく涙が出る、または気持ちが落ち込む
- 「消えてしまいたい」「何もかも投げ出したい」と感じる
- 職場の人と話すのが極端に億劫になった
- 朝起きると体が鉛のように重く布団から出られない
- 睡眠が取れないまたは眠りすぎてしまう
- 食欲がないまたは過食になっている
- 頭痛・胃痛・動悸など原因不明の身体症状が続いている
- 休日も疲れが取れず月曜日が近づくと強い憂鬱感がある
複数当てはまる場合は、一時的な疲労ではなく限界のサインである可能性があります。自分の意志や努力でどうにかなる段階を超えているかもしれません。
まず自分の状態を数値で把握したい人は、厚生労働省「5分でできる職場のストレスセルフチェック」を活用してみてください。
「頑張ればなんとかなる」と思える段階を過ぎていることも多いので、休養を取ることを考えてみてください。
【判断の基準】出勤を続けるべきか休養を優先すべきか
「出勤できている=まだ大丈夫」とは限りません。無理をして出勤を続けることで症状が悪化し、回復までに数ヶ月以上かかってしまうケースも見られます。
休養を優先すべき状態かどうかは、以下の基準を参考に判断してみてください。
- 睡眠が取れない日が1週間以上続いている
- 食欲不振や胃痛など身体症状が出ている
- 休日になっても気持ちが回復しない
- 仕事のことを考えただけで気分が悪くなる
- 職場に向かう途中で足が止まる、または涙が出る
1つでも当てはまる場合は、出勤を続けることよりも休養を優先することを検討してください。とくに複数該当する場合は、早めに動いた方がその後の回復もしやすくなります。
厚生労働省の「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」では、メンタルヘルスに関する情報や相談窓口をまとめています。自分の状態が気になる人は参考にしてみてください。
休むタイミングは早ければ早いほど、その後の立て直しがしやすいです。
【専門家に診てもらう意味】判断が鈍っているときこそ医療機関へ
疲れが限界に近づいているとき、自分の状態を正確に判断することは難しくなります。「まだ病院に行くほどではない」「精神的なものなのに行くのは大げさでは」と感じる人も多いですが、その判断自体が疲れによって鈍っている可能性があります。
医療機関を受診することで、得られるものは診断だけではありません。以下のような変化が期待できます。
- 自分の状態を医師に客観的に評価してもらえる
- 適切な休養期間の目安がわかる
- 必要に応じて診断書を発行してもらえる
心療内科や精神科というと敷居が高く感じるかもしれませんが、心が疲れたときに専門家に診てもらうことは、風邪をひいたときに内科を受診するのと同じことです。
予約はインターネットからできるクリニックも増えており、初診のハードルは以前より下がっています。受診先を探す際は、厚生労働省の「こころの耳:全国医療機関検索」が参考になりますよ。
受診して問題なしであればそれはそれでよいことなので、まず診てもらうことが回復への大切な第一歩になりますよ。
仕事に疲れたときの休み方|有給・休職・退職はどう選ぶ?
仕事に疲れて辞めたいと感じたとき、いきなり退職を選ぶ必要はありません。有給休暇で一度立ち止まったり、休職制度を使って回復期間を確保したりと、退職以外にも取れる選択肢があります。
有給休暇・休職・退職はそれぞれ性質が異なるため、自分の状態や職場の状況に応じて使い分けることが大切です。まずは簡単に使い分けのイメージを置いておきますね。
| 状況 | 優先したい行動 | 理由 |
|---|---|---|
| 数日休めば回復しそう | 有給休暇 | まず仕事から離れて状態を確認できる |
| 有給では回復しない | 休職 | 雇用を維持しながら療養できる |
| 休職しても戻れない・制度がない | 退職 | 健康を守るための選択肢になる |
どの選択肢が自分に合っているかは、今の疲れの深さや回復にかかる時間によっても変わってきます。この章では3つの選択肢の特徴と違いを順番に整理していきます。
まず有給休暇を取得して疲れを回復させる
疲れを感じたとき、最初に検討したいのが有給休暇の取得です。有給休暇は労働者の権利であり、理由を問わず取得できます。
申請する際は以下のポイントを参考にしてみてください。
- 理由は「体調を整えたい」程度で詳しく説明する必要はない
- 申請は口頭よりメールやチャットで記録を残す形が望ましい
- 取得しにくい雰囲気がある職場でも会社は原則として拒否できない
- まとまった日数が難しければ半日単位や時間単位での取得も検討する
仕事から離れて少し休むだけで、気力が回復するケースも少なくありません。まずは有給を使って休んでみることが、状態を確認する最初のステップになります。
近年は年次有給休暇の取得を促進させる動きもあるので、厚生労働省の「年次有給休暇取得促進特設サイト|労働者の方へ」も参考にしてみてください。
まずは1日休んでみることから始めてみてください。
有給では足りないなら休職という選択肢がある
有給休暇を使い切っても回復しないという場合に利用できるのが休職制度です。
休職は雇用契約を維持したまま一定期間仕事を休める制度で、多くの企業で就業規則に定められています。
- 雇用契約を維持したまま休めるため復職という選択肢が残る
- 休職中は原則として給与の支払いはないが条件を満たせば傷病手当金を受給できる
- 休職期間や申請方法は会社の就業規則によって異なる
- 休職制度がない会社もあるため就業規則や人事担当者に確認する
休職というと「会社に迷惑をかける」と感じる人も多いですが、回復のために用意された正当な制度です。傷病手当金については後から詳しく解説するので、お金の不安がある人はあわせて確認してみてください。
有効に使うことで、まず自分を回復させることを最優先に考えてください。
それでも回復が難しい場合は退職も選択肢のひとつ
有給休暇を使い切り、休職制度もない会社の場合や、休職期間が満了しても回復が難しい場合は、退職を選ぶことも正当な判断です。
退職の形には大きく2つのパターンがあり、就業規則によって異なるため事前に確認しておくことが大切です。
| 自己都合退職 | 会社都合退職 | |
|---|---|---|
| 概要 | 本人の意思で退職を選ぶ | 会社が解雇手続きをおこなう |
| 退職の申し出時期 | 法律上は2週間前までに申し出れば退職可能。就業規則で1ヶ月前などと定めている会社も多い | 会社が30日前までに解雇予告をおこなう。予告なしの場合は30日分の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要 |
| 失業給付の給付制限 | 原則1ヶ月の給付制限あり※ | 給付制限なし |
※2025年4月の法改正により給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮。過去5年間に3回以上自己都合退職している場合は3ヶ月。休職期間満了による退職は特定理由離職者として給付制限なしで受給できる場合があります。
なお、会社都合退職は本人が自由に選べるものではなく、解雇・倒産・雇い止めなど会社側の事情による離職を指します。自分から退職を申し出る場合は、原則として自己都合退職として扱われます。
会社によっては就業規則に「休職期間満了時に復職できない場合は退職とする」と定められているケースもあります。この場合でも、医療機関の診断書をもとに状況を整理しながら、会社と十分に話し合うことが大切です。
お金の不安については制度でカバーできる部分がありますので、以降の章で確認してみてください。
休職中のお金と手続きの不安を減らすために知っておきたいこと
休職を検討するとき、「収入はどうなるのか」「手続きはどう進めればいいのか」という不安が、休む決断を躊躇させることがあります。ただ、制度の内容を知っておくだけで、その不安はかなり軽くなります。
この章では、休職に必要な手続きの流れとお金の仕組みを順番に整理していきます。
医療機関の診断書が休職・傷病手当金の起点になる
休職を会社に申請する際、多くの場合で医師の診断書が必要になります。診断書は「この人は今、仕事を休む必要がある状態です」という医師による客観的な証明であり、会社との交渉をスムーズに進めるうえで重要な役割を果たします。
- 会社への休職申請
- 休職期間の延長を申し出るとき
- 退職後に失業給付の特定理由離職者として認定を受ける際(病気・メンタル不調が理由の場合)
また、傷病手当金の申請には診断書とは別に、支給申請書の「療養担当者意見欄」に医師に記入してもらう必要があります。受診の際に「傷病手当金の申請書を書いてほしい」と伝えれば対応してもらえますが、即日発行ではなく、数日から1週間ほどかかるのが一般的です。
「診断書を出してもらうと大げさになる」と感じる人も多いですが、診断書があることで感情的な説明をしなくても済み、会社側も対応しやすくなります。自分を守るための書類として、必要であれば遠慮なく医師に依頼してみてください。
会社への説明が苦手な人ほど、診断書があることで話がスムーズに進むケースが多いです。
【休職までの流れ】受診・診断書取得・会社への申請
休職を実現するまでの流れは、大きく3つのステップで進みます。「何から手をつければいいかわからない」という人も、この順番を押さえておくだけで動きやすくなります。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①受診 | 心療内科・精神科を受診する | 医師が症状を聞き取り、休職が必要かどうかを診断する |
| ②診断書取得 | 医師に診断書の発行を依頼する | 休職期間の目安も記載してもらうとスムーズ。発行まで数日〜1週間ほどかかるため早めに依頼する |
| ③会社への申請 | 人事担当者または上司に診断書を持参して休職を申し出る | 診断書が客観的な根拠になるため感情的な説明をしなくて済む |
受診先を探す際は、厚生労働省「こころの耳:全国医療機関検索」が参考になります。
受診の際は、今の症状や仕事の状況をできる範囲で伝えるだけで構いません。医師が必要な聞き取りをおこない、休職が必要かどうかを判断します。
休職が必要と診断された場合は診断書を依頼し、発行まで数日から1週間ほどかかるのが一般的なため早めに動いておくと安心です。
診断書を持参して会社に申し出る際は、就業規則に定められた手続きに従って進めます。休職期間中の給与の扱いや社会保険料の支払いについても、このタイミングで人事担当者に確認しておくと安心です。
「体調不良が続いており、医師から一定期間の休養が必要と診断されました。診断書を提出いたしますので、休職の手続きについてご確認いただけますでしょうか。」
感情的な説明をしなくても、診断書と簡潔な一言があれば、会社側も対応しやすくなります。
傷病手当金の受給条件・金額目安・受給期間
休職中に給与が支払われない場合でも、条件を満たせば傷病手当金を受給できます。「休んだら収入がゼロになる」と思って休職をためらっている人は、まずこの制度の内容を確認してみてください。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の「傷病手当金|給付と手続き」によると、受給条件・金額・期間は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受給条件 | 健康保険に加入している/業務外の病気やケガで療養中/連続3日以上休んだ後4日目以降も労務不能/休職中に給与の支払いがない |
| 金額目安 | 直近12ヶ月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2 |
| 受給期間 | 支給開始日から最長通算1年6ヶ月 |
標準報酬月額別の金額の目安は以下の通りです。標準報酬月額とは、毎月の給与をもとに社会保険料の計算に使われる金額のことで、実際の月収とは異なる場合があります。あくまで目安として参考にしてください。
| 標準報酬月額 | 1日当たりの支給額 | 1ヶ月あたりの支給額(目安) |
|---|---|---|
| 20万 | 約4,444円 | 約13万円 |
| 30万 | 約6,667円 | 約20万円 |
| 40万 | 約8,889円 | 約26万円 |
受給期間は支給開始日から通算して最長1年6ヶ月です。途中で復職して支給が止まった期間はカウントされないため、再度休職した場合は残りの期間分を受け取ることができます。
ただし同一の病気での再申請は通算されるため注意が必要です。
なお、上記は協会けんぽの内容をもとにしています。健保組合によって、条件や手続きが異なる場合があるため、加入先の組合に確認するようにしてください。
完全にゼロになるわけではないと知っておくだけで、休む決断のハードルがぐっと下がります。
退職を選ぶ場合に知っておきたいお金の話
休職を経てもなお回復が難しく退職を選ばざるを得ない場合でも、お金の面で活用できる制度があります。
「退職したら収入がすぐゼロになる」と思っている人も多いですが、状況によっては傷病手当金の継続受給や失業給付の延長申請で、一定期間の収入を確保できる場合も多いです。
退職後のお金の不安を少しでも減らすために、知っておきたいポイントをこの章で確認しておきましょう。
退職後も傷病手当金を継続受給できるケース
退職後も、条件を満たせば傷病手当金を継続して受け取ることができます。休職中に受給していた傷病手当金は、退職によって自動的に止まるわけではありません。
継続受給の主な条件は以下の通りです。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 健康保険の加入期間 | 退職日までに健康保険に継続して1年以上加入していること |
| 退職日の状態 | 退職日に労務不能の状態であること(出勤していないこと) |
| 受給開始 | 在職中にすでに傷病手当金の受給が始まっていること (有給消化中などで受給開始前の場合は加入先の健保組合に確認が必要) |
一点注意が必要なのは、退職日の過ごし方です。
退職日に引き継ぎや残務整理などで出勤した場合は「労務不能」の条件を満たさないため、継続受給の対象外となります。一方、退職日を有給消化にした場合は出勤扱いにならないため問題ありません。
退職のタイミングと最終出勤日は慎重に確認しておきましょう。継続受給の詳細は、全国健康保険協会(協会けんぽ)の「傷病手当金|給付と手続き」でも確認できます。
退職する場合はタイミングを慎重に確認しておくといいですね。
失業給付の受け取り期間は延長することができる
退職後に体調が回復していない状態では、失業給付をすぐに受け取ることができません。失業給付は「今すぐ働ける状態にある人」を対象とした制度であるためです。ただし、受給期間の延長申請をしておくことで、回復後に給付を受けることができます。
- 働けない状態が30日以上継続した翌日以降にできる限り早めにハローワークへ申請する
- 本来の受給期間1年間に加えて最長3年間(合計最大4年以内)延長できる
- 申請には医師の診断書など働けない状態を証明できる書類が必要になる場合がある
- 体調が回復したら延長を解除し求職活動を始めることで給付が開始される
詳細はハローワークの「基本手当について」でも確認できます。
延長申請をしておくことで、体調が戻ってから落ち着いて求職活動ができます。
傷病手当金が終わってから失業給付へ
傷病手当金と失業給付は同時に受給することができません。
そのため、傷病手当金を受給している間は失業給付の受給期間延長申請をしておき、傷病手当金が終了してから失業給付に切り替える流れが基本になります。
| 時期 | 状況 | 手続き |
|---|---|---|
| 休職〜退職直後 | 体調が回復していない | 傷病手当金を受給しながら、失業給付の受給期間延長申請をおこなう |
| 傷病手当金終了後 | 体調が回復してきた | 延長を解除してハローワークで求職申し込みをおこない、失業給付を受け取る |
この流れで手続きを済ませておくことで、退職後もしばらくの間は収入を確保しながら回復に専念できます。
手続きの時期を逃さないよう、退職前に流れを確認しておくことをおすすめします。
失業給付を受ける段階になったら求職活動実績が必要です。具体的な実績の作り方はこちらの記事で解説しています。
辞めたい原因や今後のキャリアを整理するのは回復してからでいい
疲れ切った状態で「なぜ辞めたいのか」「次はどうしたいのか」を考えようとしても、思考力が落ちているため正確な判断が難しくなります。無理に原因を分析しようとすると、必要以上にネガティブな結論に至りやすく、冷静な振り返りができません。
体調が戻ってきた段階で大切なのは、「辞めるかどうか」だけを考えることではなく、何が自分を消耗させていたのかを整理することです。原因が分からないまま転職すると、次の職場でも同じ悩みを繰り返す可能性があります。
自分のキャリアや今後の働き方を整理するのは、心身が回復してからでも十分間に合います。
この章では、回復期に自分を振り返るためのヒントを整理します。
休職中に気持ちが落ち着いたタイミングで自分を振り返る
休職直後は、とにかく休むことだけに専念してください。自己分析や将来のことを考え始めるのは、少し余裕が出てきてからで十分です。焦って「次どうしよう」と考えても、疲れた状態では正確な判断ができません。
以下のような回復のサインが出てきたタイミングが、振り返りを始める目安になります。
- 朝自然に目が覚めるようになった
- 食欲が戻り食事を楽しめるようになった
- 散歩や外出が苦にならなくなった
- 仕事のことを考えても以前ほど気分が悪くならなくなった
- 将来のことをなんとなく考えられるようになった
これらのサインが出てきたら、少しずつ自分の状態や働き方を振り返るステップに進んでみてください。
振り返りは「なぜ疲れたのか」という原因の整理から始めると、次の職場選びや働き方の改善につながりやすくなります。
他の人と比べず、自分のペースで少しずつ動き出すことを大切にしてください。
辞めたい原因とキャリアを整理するヒント
心身に余裕が出てきたら、辞めたい原因を整理することで、次の職場選びや働き方の方向性が見えてきます。ただし、答えを急いで出す必要はありません。
以下のチェック項目を参考に、自分のペースで整理してみてください。
| 確認すること | 次の職場選びに活かす視点 |
|---|---|
| 辞めたい原因は仕事内容・人間関係・職場環境・給与のどこにあるか | 同じ原因が起きにくい職場を選ぶ |
| 会社を変えれば解決するのか、職種も変えるべきか | 転職先の業界・職種の方向性を決める |
| 今の仕事で得たスキルや経験は何か | 応募書類や面接で伝える強みにする |
| 次の職場に求める条件は何か | 求人選びの軸を明確にする |
| 譲れない条件と妥協できる条件は何か | ミスマッチや焦った転職を防ぐ |
ひとりで考えるのが難しい場合は、転職エージェントの無料相談も選択肢のひとつです。また、エージェントのオンラインセミナーは自分の働き方やキャリアの方向性を整理するヒントになるものがあります。
原因の整理は自分が次にどんな環境で働きたいかを明確にするための作業です。ひとりでは難しいと感じたときは、リクルートエージェント・doda・マイナビ転職エージェントといった大手の転職エージェントに相談するのがおすすめです。
キャリアアドバイザーがプロの視点で原因やキャリアの整理をサポートしてくれます。
転職エージェントのオンラインセミナーは、転職に関連する内容であれば、失業給付の求職活動実績として認められます。以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
回復後に転職を考えるなら状況別に転職エージェントを使い分けよう
心身が回復し、転職活動を始める段階になったら、転職エージェントを活用することで求人の幅とサポートの質が上がります。ただし、エージェントは状況によって使い分けるのがポイントです。
自分の経歴や目指す方向性に合ったエージェントを選ぶことで、転職活動をより効率的に進めることができます。
まず、幅広い選択肢から求人を探したい人には、求人数が豊富な総合型エージェントが向いています。
| エージェント | 特徴 | 疲れて辞めたい人に向いている理由 |
|---|---|---|
| リクルートエージェント | 業界最大級の求人数、非公開求人も豊富 | 今の職場以外の選択肢を広く確認しやすい |
| doda | 求人数が多く、スカウト機能も充実 | 自分のペースで情報収集しながら相談できる |
| マイナビ転職エージェント | 中小企業の求人に強く、丁寧なサポートが特徴 | 働き方や職場環境を重視して相談しやすい |
リクルートエージェントとマイナビ転職エージェントについては、以下の記事も参考にしてみてください。
経歴が浅い・社会人経験が少ない20代の場合、総合型エージェントより若手特化型の方がサポートが手厚く、未経験歓迎求人も豊富です。
疲れて辞めたい20代にとって、「次にどんな仕事が向いているか」というキャリアの方向性から一緒に考えてくれるエージェントを選ぶことが、転職成功への近道になります。
| エージェント | 特徴 | 疲れて辞めたい人に向いている理由 |
|---|---|---|
| UZUZ | 既卒・第二新卒に特化したサポート | 経歴に自信がない状態でも相談しやすい |
| ハタラクティブ | 未経験歓迎求人が豊富、就活支援も充実 | 職種を変えたい場合の選択肢を探しやすい |
| マイナビジョブ20’s | 20代専門、キャリアの方向性から一緒に考えてくれる | キャリアの方向性から一緒に整理しやすい |
UZUZとハタラクティブの口コミや評判はこちらの記事にまとめてあるので、ぜひチェックしてみてください。
これまでのキャリアを活かして年収アップや上位ポジションを目指したい人には、ハイクラス向けのエージェントが有効です。
管理職経験や専門スキルがある人ほど活用しやすくなります。
| エージェント | 特徴 | 疲れて辞めたい人に向いている理由 |
|---|---|---|
| ビズリーチ | スカウト型。高年収・管理職求人が豊富 | 自分から積極的に応募しなくても、経験を評価してくれる企業の選択肢を確認しやすい |
| JACリクルートメント | 外資系・専門職に強い。コンサルタントの質が高い | これまでの経験や専門性を活かしつつ、職場環境や働き方を見直したい人に向いている |
JACリクルートメントについて詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
また、総合型と特化型を併用することで求人の幅が広がり、自分に合った選択肢を見つけやすくもなりますよ。
今回紹介した他にも、転職エージェントは多数存在します。以下の記事にまとめてあるので参考にしてください。
仕事に疲れて辞めたい人によくある質問
仕事に疲れて辞めたいと感じているとき、不安や疑問は尽きないものです。よくある質問をまとめたので、気になる項目を確認してみてください。
休職は雇用契約を維持したまま休めるため、傷病手当金を受給しながら回復に専念でき、復職という選択肢も残ります。
一方、休職制度がない会社や、職場環境そのものが回復を妨げていると感じる場合は、退職も正当な選択肢のひとつです。医療機関を受診し、医師の意見を参考にしながら判断してみてください。
たとえば標準報酬月額が30万円の場合、1日あたり約6,667円、1ヶ月(30日)で約20万円が目安になります。
受給期間は支給開始日から通算して最長1年6ヶ月です。途中で復職して支給が止まった期間はカウントされないため、再度休職した場合は残りの期間分を受け取ることができます。
詳細は加入している健康保険組合によって異なる場合があるため、不明点は加入先に確認してみてください。
申請には働けない状態が30日以上継続した翌日から早期に申請することが原則のため、退職後は早めに手続きをしておきましょう。
なお、傷病手当金を受給中の場合は傷病手当金が優先され、失業給付との同時受給はできません。傷病手当金が終了してから失業給付に切り替える流れになります。
ただし、休職申請のために診断書を会社に提出する場合は、病名や状態が記載されるため、人事担当者や上司には伝わることになります。また、会社に産業医がいる場合、産業医を通じて情報が共有されるケースもあります。
受診そのものがバレることはありませんが、休職手続きを進める際には診断書の提出が必要になる点は理解しておいてください。
むしろ「甘えだ」と感じて無理をし続けることで、適応障害やうつ病など回復に時間がかかる状態に発展するリスクがあります。
疲れのサインを自覚できているということは、自分の状態に気づけているということです。その気づきを大切にして、早めに休む判断をすることが、長く健康に働き続けるためにも重要といえます。
ただし休職制度は法律上の義務ではなく、会社の就業規則によって定められているため、制度の有無や取得条件は会社によって異なります。まずは就業規則を確認するか、人事担当者に相談してみてください。
なお、休職中は原則として給与は支給されませんが、健康保険に加入しており一定の条件を満たす場合は、標準報酬月額のおよそ3分の2を傷病手当金として受け取ることができます。
仕事に疲れて辞めたいと感じたら|休むことは自分を取り戻す第一歩
仕事に疲れて辞めたいと感じることは、弱さではありません。自分の限界に気づけているサインであり、その気づきを大切にして早めに行動することが、回復への近道になります。
- 疲れ切った状態での転職活動はミスマッチのリスクが高くまず休むことを優先する
- 一時的な疲労か限界のサインかを精神的・身体的の両面から確認する
- 有給・休職・退職はそれぞれ性質が異なり状態に応じて使い分けができる
- 休職中のお金の不安は傷病手当金で一定期間カバーできる
- 退職を選ぶ場合でも傷病手当金の継続受給や失業給付の延長申請を活用できる
- 辞めたい原因やキャリアの整理は心身が回復してからでも十分間に合う
「まず休む→回復する→改めて考える」という順番が、結果的に自分らしい働き方を取り戻す最短ルートです。休むことは逃げではなく、次に向けての準備です。
働く人の約3人に2人が強いストレスを感じている中、疲れを感じることは決して特別なことではありません。まず体と心を回復させることを最優先に、自分のペースで一歩ずつ前に進んでいきましょう。
すぐに応募する必要はなく、まずは自分に合う働き方や求人の傾向を知るだけでも、今後の判断材料になりますよ。































